|
|
ついに悲願のこのタイトルを手にした。水上晃男は、昨年大会では豊島豊と最終ホールまで優勝を争い、わずか1打差で涙を飲んだ。本選手権では2位が過去に2回あり、今年17回目の挑戦でつかんだ初タイトルだった。
前半は3ボギーで、通算7オーバーパーでターンした。雨が降り、「ラフに入れるとダメでした。距離は残るし、グリーンに乗せることもできない。アプローチでしのぐしかなかった」。後半に入って10番でもボギーを叩き、この日「4オーバーパーにしたらいけないな」と思ってからエンジンがかかった。11番でバーディを獲って、息を吹き返した。しかし、13、14番で連続ボギー。「雨が降って、グリーンのスピードが遅くなって、パットのタッチを合わせるのが難しかった」という。昨日まではすっとボールが伸びていたところが、ぐっとスピードが落ちて切れていくシーンが多かったという。この点は他の選手も口にしており、グリーンのスピードに対応できずに、スコアを崩す選手が多かった。その点、水上は後半、対応していった。16番でバーディを奪い返し、この時点で通算8オーバーパーにした。前後の選手のスコア状況はわからなかったが、いい順位にいるのは雰囲気で分かった。18番ホールをパーでしのげば「いける」と思った。だが、グリーン脇からのアプローチをミスして寄せきれずにボギーでホールアウトした。
前の組で回る高野隆を1打リードしていることはわかったが、最終組のスコア状況はわからなかった。そわそわしながら待つ。結局、小原淳が18番ホールでボギーを叩き、水上の優勝が決まった。「やっと、獲れた」と喜んだ。50歳になるのを機に、筋力トレーニングを始めた。トレーニング方法を学び、自宅で器具を使って体を鍛えた。主に上半身に筋力がついた。そして、食事にも気を付けるようにした。夜は炭水化物を摂らないようにし、大好きな酒も控えるようにした。その成果が昨年から出るようになった。51歳で日本社会人ゴルフ選手権に2度目の優勝、関東ミッドアマに初優勝した。しかし、本選手権では前述したように豊島の前に屈し、2位。最終ホールでバーディチャンスにつけたのに外し、バーディを決めた豊島が優勝した。「もう獲れないかな」と思ったという。
それだけにこの優勝は飛び切り嬉しい。この優勝で来年の日本オープンの出場も決めた。すでに日本シニアオープンの出場権も手にしている。「来年は出る試合を絞らないといけないかなぁ」とうれしい悲鳴だ。まだまだ元気な52歳だ。
|