女子アマチュアゴルフ界屈指の飛ばし屋である神谷そら(明世)。第1ラウンドは彼女らしい攻撃的ゴルフを展開して上位につけた。4ホールあるパー5を全てバーディにした。といって、無理に2オンを狙うのではなく、ティーショットの落下エリアが狭いホールでは、レイアップ策もとった。例えば3番である。ティーショット、セカンドショットともに3番ウッドを手にして、グリーン左手前に運び、アプローチショットを寄せてのイージーバーディだった。589ヤードと距離の長い6番(パー5)は、「3打目をいいところから打ちたい」とポジショニング優先のショットで繋いだ。14番はグリーン手前からタップインの距離に寄せ、18番もグリーン手
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前カラー部分からパターで寄せてのバーディだった。
5番(パー4)では、ティーショットを左OBに打ち込んだ。暫定球を打ち、4打目となった打ち上げのショットをピンそば50センチにつけ、ボギーでしのいだ。このホールも含めて、神谷はラウンド中の自分を「少しは大人になった」と感じているという。「良くも悪くも、気持ちの揺れがほとんどなく、常に次の1打に気持ちが向くようになっています。実は、今日はドライバーショットが荒れていたんです。振れ過ぎというか飛びすぎというか…。だから、逆に次の1打に気持ちをすぐに切り替えられたのかもしれません。13番では、ドライバーショットが左の木の下に止まってしまったのですが、悪あがきせずに横に出しました。結果はボギー。“ま、こういうこともあるわな”ということで引きずりはしなかったです」
本選手権は5回目の出場で、今回は「勝ちたい気持ちが強い」という。そこを目指して好スタートが切れたといっていいだろう。秋にはプロテストが控えている。アマチュアとしての活躍でプロ競技出場の機会が多かった神谷は、そのプロ競技で思い出として強く残っていることがあるという。渋野日向子と同じ組でラウンドした2年前のバンテリンレディスでのこと。あのあと渋野は全英女子オープンというメジャータイトルを仕留めることになるのだが、ラウンド中に渋野から声を掛けられた。
「お菓子、食べる?」
顔を見ると、あのスマイル。
「プロって、こんなに余裕を持ってラウンドするんだって、衝撃でした。それから、自分も、自分を追い込まないように意識するようになりました」
そんなことも、何事にも動じない姿勢が形成されていったのであろう。集中と解放。現在の神谷には、そんなことも備わっている。
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