10番ホールからのスタートで、いきなり足を滑らせてのミスショットからボギー発進となったのが越田泰羽。「ビックリしました。空振りするかと思いました」
その後は、しっかりアドレスにも気をつけて足を滑らせるようなこともなく。11番パー4ホールでバウンスバックすると13番パー5ホールは第3打でチャンスを作り、しっかりバーディを決めた。アウトにターンしても、越田のプレーには無理しているところが感じられなかった。これには、バックボーンとして越田の、こんな考え方があった。
「東京ゴルフ俱楽部は、やっぱり難しい。だから無理に攻めようとせず、パー5ホールで狙い通りのショットが打てた時にだけバーディを
ちょっと意識する。それが、自分の基本マネジメントです」
確かに、第1日に奪った4バーディのうち3個まではパー5で奪ったものだった。マネジメントは、人それぞれ。自分の持ち球や得意なクラブや飛距離、ショット精度によって変わってくる。コースコンディションによっても、それはまた異なる。
越田のキャディーバッグをのぞくと、ウッドはドライバー、3Wの2本しか入っていない。3Wの下はUTになる。そして49度、53度、58度と3本のウェッジ。届く距離なら、あるいはグリーンにできるだけ近づけたい状況なら3Wを活用し、無理しなければならない状況ではレイアップ作戦をとり、ウェッジで寄せるといったゴルフスタイルがうかがえるセッティングになっている。この日のゴルフは、こうしたセッティングに則ったプレーだったということであろう。
好スタートを切ったことで、優勝も狙えるのでは…と水を向けると、こんな答えが返ってきた。
「いえ、順位のことは考えません。それをやると自分を追い詰めてしまうので、別の目標を立てて臨んでいます」
さて、別の目標とは?
「一つだけです。それは、気持ちよく振ること!」
なるほど、それでスタートホールの「ビックリしました」という驚きの意味がわかった。
気持ちよく振ろうと思ったのに、滑ってバランスを崩したのでは、目標の真逆の動きでいきなり目標決壊だったのであろう。もっとも、それ以降は、確かに気持ちよさそうに振り切っていた。
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