ノーボギーで5アンダーパーの67。気象条件、コースコンディションを考えれば、佐藤心結のスコアは完ぺきだったといえる。しかし、その内容は、けっして万全ではなかった。ドライバーショットは、ちょっと不安定だった。このクラブを手にした14ホールでフェアウェイをとらえたのは7ホールだけ。つまり、フェアウェイキープ率は50%でしかなかった。それで、どうした5アンダーパーという好スコアをマークできたのか。そこには、佐藤の状況に応じたしたたかな計算があった。
「ラフからのショットは、距離感を合わせるのが難しい。グリーンを狙っていくのは危険です。なので、ちょっと距離の長いパー4ホールでラフに入れたとき、グ
リーンまで200ヤード前後あるときは、第2打を確実にレイアップして、第3打とパッティングに勝負をかける。それを徹底しました」
9番ホールで、こんなシーンがあった。ティーショットを左ラフに打ち込んだ。ボールはラフに沈んでいた。ピンまでは、200ヤード近くある。グリーン手前にはバンカーという状況だった。ここで2打目に佐藤が手にしたのは9番アイアンだった。絶対にバンカーまで届かず、なおかつしっかりグリーンに止められる距離を残す。そんな計算を働かせてのクラブ選択であった。狙い通りにピンまで100ヤードを残しての第3打。バックスピンがかかりすぎることなく、ピン手前にドスン、ピタリと止まって楽々パーセーブした。
フェアウェイから打てた状況では、ピンの根元に狙い打ちした。スマートなマネジメントこそが、5バーディ・ノーボギーの結果を生み出したということだ。
最大のピンチは10番ホールであった。第2打がバンカーにつかまった。この日唯一のバンカーショットだった。しかも、目玉状態。そこからはグリーンエッジまで出しただけだったのだが、そこからチップインでのスーパーパーセーブを決めた。フェアウェイからの精度の高いアイアンショット。フェアウェイを外した時の冷静なマネジメント。そしてほんのちょっとの幸運。佐藤の第1日のゴルフには、それらが絶妙に入り混じっていた。
6月の日本女子アマでは、3位。関東ジュニアは2位タイ。最後の日本ジュニアでは、だからこそ優勝を望んでいる。
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