第2日を首位で終えた萩生田みらんの第3日は、最終日最終組でのスタート。「昨日までは、そんなに緊張することなく、プレーできたのですが、最終日を迎えてスタート時間が迫ってくるとともに体が硬くなっていくのがわかりました」
スタート時には、その緊張がピークに達していた。自分のリズム、タイミングでのスイングができるはずもなく、ショットは曲がった。いきなりダブルボギーのスタートとなってしまった。その後もバーディチャンスを作れないどころか、ピンチが続いた。それをパッティングでしのぐが、8番、12、14番とボギーにして、この段階では通算3オーバーパーにまでスコアを落としてしまった。15番パー5ホールでよ
うやく初バーディ。このバーディが、大きかった。というのも、同じ最終組でプレーしてトップに立っていた宮城柚が、16、18番でボギーを叩いたことで、結局、同じ2オーバーパーでのホールアウトとなった。
両選手よりも二組前でラウンドしていて13番からの3連続バーディを含め6バーディ・4ボギーの70をマークし、通算2オーバーパーで先にホールアウトしていた鳥居さくらを含めた3選手が優勝をかけてプレーオフ(10、14番を使ったサドンデス方式)を戦うことになった。
1ホール目でティーショットをフェアウェイ右サイドに打ち込んだ宮城がボギーを打って脱落。萩生田と鳥居が2ホール目に進んだ。ここでは、両選手ともティーショットでフェアウェイをとらえ、第2打でグリーンもキャッチした。パッティングの勝負。先に打つ萩生田は、このとき、“あの感覚”になっていた。それというのは、平常心でプレーしたとき、ここ一番で集中が極限になると訪れるもので、いわゆるゾーンに入った状態である。
「8メートルほどの下りで、最初はスライス転がりが弱くなってからフックという複合ラインだったのですが、ラインははっきりと読めました。ボールが気持ちよく転がってカップインするイメージまで浮かびました。こうなったとき、私は“入れる”というより、“入った”という確信を持ってアドレスできるし、ストロークできるんです」
結果も、確かにカップインとなった。続いて打った鳥居のバーディパットは、カップ横を通り過ぎて勝者が決まった。
初優勝した萩生田は、優勝できたから言えるということもあるだろうが、プレーオフも含めた第3日を、こう振り返った。
「最終日、最終組も初めてでしたし、プレーオフも初めてでした。それが、どれほどの緊張に襲われることになるのか。その中で自分がどんな状態になるのか。いろいろと経験させてもらいました。あのドキドキ感、極限の緊張、とてつもない集中力…すべてを含めて本当に楽しかったです。終わって、優勝の実感はまだ湧いてきてはいませんが、“楽しかったなあ…”と、その思いが続いています」
12―14歳の部は、これで卒業になる。次は15―17歳の部でこの日の喜びのラウンドを続けることになる。
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