「ほっとしたと言うよりは嬉しいの一言ですね」。
シニア競技に出場し始めて15年になる冨田久三が嬉しさを噛み締めた。これまで日本シニアゴルフ選手権競技(2013 年)で4位や、日本ミッドシニアゴルフ選手権競技(2016年)での2位タイなど輝かしい成績を残しながらも優勝にはあと一歩届かずにいた。
「ゴルフの調子は近年になく良かったと思います。8番、9番でボギー、ボギーとなった時には少し嫌な流れだなとは思ったんですが、後半は12番のパー3でバーディが獲れて、終始落ち着いてプレーできたと思います」。
1日目に好スタートを切り、最終日も楽しんでプレーできればと話していた冨田。優勝を意識することはなかったという言葉通りに、特に緊張することもなかった。ただ、本人も流れが悪くなりそうだったと話す9番ホールでは、少し安全に行き過ぎたと振り返る。
2日間を振り返って勝因を聞くとドライバーが安定していたことだと冨田。ただ、今日の9番だけは少し慎重になったことがボギーの要因になった。
「9番のボギーは1mも無いくらいのパーパットを外してしまったんですけど、ティショットも今日唯一ドライバーを使わなかったんです。少し大事にという気持ちが働いたのかもしれませんね」。
ただ、そんな嫌な流れに呑まれることなく、終わってみれば2位以下に4打差をつける圧勝となった要因は冨田自身が心がけている気持ちの持ち方にあるようだ。
「ゴルフを長く楽しむ秘訣は何もかも真摯に向き合うというか、受け入れるということですかね。たまには落ち込むこともありますけど、でもそれは誰かが邪魔しているわけでも無いので。他の競技なら相手がいますけど、ゴルフは相手がいなくて自分次第なので、その辺は良くても悪くても受け入れるということが大事なことだと思っています」。
来年に向けて2連覇は?との問いに「いやいや」と謙遜する冨田だが、受け入れる精神で来年も必ず上位に食い混んでくるだろう。
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