寺岡、仲村とともに最終組でスタートした幸田の前半は、戸惑いの中にいた。2番のボギーを4番のバーディで取り戻したものの、同組の2選手の足並みが思っていたよりもずっと速かった。
仲村はスタートからの6ホールで5バーディ。寺岡も3番こそボギーにしたものの、そこから7番までに4バーディとスコアを急上昇させていた。
幸田は両選手の勢いに押されていた。
「自分では、この大会に入って、一番調子がよかったんですけど、ふたりにちょっとあおられてしまって…。ひとり取り残されているような気持になっていました」
二人のバーディ合戦は、寺岡の10番で急に下火になった。幸田が、ようやく自分のペース
を取り戻したのは、そこからだった。嵐の去った海に一人で船を乗り出したような、解放された気分だったようだ。11、17番と2つのバーディを決めて、両選手に2打差の3位でホールアウトした。
「置き去りにされかけましたけど、なんとか二人の背中に近づいて終われたのはよかったと思います。2打差なら、どうにもならないという差ではないので、慌てずに追撃します」
最終日も最終組は、第3日と同じ顔合わせになる。「そうですね。できれば、今日とは逆に私がスタートダッシュをかけたいところですけど、最終的に勝負はバックナインに入ってからだと思っているので、じっくり構えていきます」
幸田の、この落ち着きが不気味だ。
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