1、2番を連続バーディ発進したものの、田中はそこからずるずると後退していった。3、4番の連続ボギーで貯金を吐き出した上に、7、9番もボギーにして通算でも1オーバーパーとなった。田中には「上がりホールで3パットすることが多い」という妙なところがある。「また、やってしまったか…」と意気消沈しかけたところに声が掛かった。キャディーを務める父親だった。
「ここからだ。気持ちを切り替えて目の前の1打に集中していけ!」
岐阜市内で居酒屋を営んでいる父親は、キャディーを終えるとコースからクルマで30分ほどの店にかけつけ営業を始める。お父さんは、頑張っている。
気持ちをリセットして臨んだ10番パー5ホールでバーディがとれた。さらに13番からは、“いいこと”が待っていた。まず、13番。第2打をグリーン手前花道にショートさせたが、ここからのアプローチショットがチップインとなった。そして14番パー3では5UTのショットが4㍍についた。まだ続く。15番パー5ホールでは第2打をレイアップしたあと、80㍎を52度のウェッジで打つと、これまた4㍍に寄った。3連続バーディである。
さらにいいことが続いた。17番パー4ホールの第2打。8番アイアンで打ったショットが、ピンそば30センチについた。後半のインは、5バーディの31。通算で4アンダーパーにまで盛り返し、4位グループにまで浮上した。この勢いが最終日まで引き継がれれば、トップとの4打差も十分に追い上げられる。親子のコンビは、第3日に何か大きなものを掴んだように思える。
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