学生ゴルファーが、日本アマチュア選手権で台頭してきたのは、いつごろだったろうか。
2006年度大会では、平均年齢が、29.34歳。140名中、社会人選手が74名。大学生が40名。高校生が、20名。中学生が4名いた。社会人選手と学生選手が逆転したのは、2011年のことである。
その後、社会人選手の数が年々減少して行った。本年度大会で、30代以上の選手は、9名。中でも、この大きな変化の中で、日本アマ出場10回以上続けている「練達」した選手がいる。彼らは、老練ではない。いまだに生き生きとプレーしているからだ。
45歳の豊島豊(14回出場)に言わせると「化石トリオなんですよ」と、嬉しそうに苦笑いをする。そのトリオは、高橋雅也(11回出場)と水上晃男(19回出場)である。高橋は、51歳。水上は、55歳。ミッドアマを主戦場としている選手たちだけれど、日本アマで戦う喜びとプライドが心情の奥底に刻まれている。
「楽しいんですよ」と高橋は、語る。「学生たちのスイングが、生き生きしていて、ケレン味がない。しっかりと振り切る。プロになると、もう少し穏やかになるけれど、学生たちは、その繕いがないんですね。ですから、そういう若い子と回りたいんです。どうしても、僕たちの年齢になると、上を向かないで、下を向いてしまうでしょう。飛ぶ、飛ばないじゃなく、そういうケレン味のないスイングで振り切る姿を見ると、彼らの伸びしろを感じますし、自分にとっても、いい刺激になるんです」と語った。
水上も「楽しい」という言葉がでてくる。「50歳になってからプロのシニアオープンに出れて、アマチュアのシニアは、55歳からなので、今年から、もうひとつ目標ができたんです。これでもう日本アマは店じまいかなと思うんですけど、やっぱり、この大会での競い合いは、楽しいし、自分のゴルフを育ててくれたものですからね」と、まるで少年のように語る。
豊島は、仕事でほとんど練習する時間もない。それでも、彼の勝負強さや優れたゲームマネージメント力が、好スコアを紡ぎ出してしまうのだ。
「確かに、年齢や飛距離を考えれば、しんどい部分もあります。競技ゴルフは、苦しいですけど、でも、(日本アマに)来たら来たらで、楽しいんですよね。毎年、自分のエンジンは衰えていくのでしょうが、まだ10歳も年上の水上選手が、バリバリ頑張っていますからね。目標が、目の前にいるんですよ」
この化石トリオが、化石ではないのは、3人とも眼が輝いていることだ。
サムエル・ウルマンの「青春」という一遍の詩が浮かんでくる。
『(前略)青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ。優れた創造力、逞しき意志、炎ゆる情熱、怯懦(きょうだ)を却ける勇猛心、安易を振り捨てる冒険心、こう言う様相を青春と言うのだ。年を重ねただけで人は老いない。理想を失う時に初めて老いがくる。(後略)』
この3人、そのままである。
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