古川龍之介は、11番、177ヤード、パー3で人生初のホールインワンを達成した。アゲンスト、打ち下ろし、実測で165ヤードを7番アイアンで「入ったのが見えました」と驚きを隠せなかった。でも、プライベートのラウンドなら、飛び跳ねて、ワイワイと大喜びする場面だ。あるいは、プロの競技なら、ホールインワン賞もあるだろうから、もっと騒ぎになる。でも、この情況。日本アマチュア選手権の重要な第3ラウンド。その場面で、首位に立っていたのが、同じ日本大学ゴルフ部の仲間、というより親友の前田光史朗。「そのとき僕は、1打リードされていたんですよ。ですから、前田くんは、これはねぇだろっていう表情でした(笑い)」なんとも
言いようのないホールインワン達成の瞬間だった。
その後、古川は、12、15、16、17番と4つのバーディ。18番では「ダブルボギーだけは避けようというピンチを、うまくボギー」におさめて後半は、31のスコア。この日66をマークして、通算12アンダーで首位に躍り出た。
実は、前半の6番ホールまで、重たい空気に包まれていた。古川は、そこまでずっとパープレー。同じ組の小寺大佑もパープレー。そして前田は、6番でボギーと、ほとんど酸欠状態のプレーぶりだった。7番、パー5でようやく古川と前田がバーディをとって、空気がかわっていった。「僕にとっても、7番のバーディは、すごくいい気な意味がありました」という流れで後半にやってきた。ホールインワンは、その矢先の出来事だったのだ。「それで楽になりましたね。自分らしいゴルフができてきました」と言った。
古川にとっての自分らしいゴルフというのは「自分が丁寧に丁寧にやって、しっかりと積み重ね、そこからゲームを好転させていくのがスタイルなんですよ。ゆっくりスコアを伸ばしていく。でも、最近、ちょっとそのスタイルに自信をなくしかけていたんです。特に、先週開催された全国大学ゴルフ対抗戦で、東北福祉大、大阪学院大に敗れてチーム3位になったときに、僕はキャプテンとして、反省会で、自分のゴルフに対して申し訳なかったとみんなに謝ったんですよ。
そしたら出利葉が、僕に喝を入れてくれて、それで、今回も、自分のプレーをしっかりと貫こうという気持ちで臨んだんです」結果的に、それが功を奏した。
「明日(最終日)ですか? 目標は18アンダーです。チャレンジャーという気持ちを忘れないで、コースと戦いたいと思っています」
|