1アンダーパーの70で首位に2打差の8位グループに入った荒木優菜は、日章学園の2年生。2週ほど前に行われた全国高等学校ゴルフ選手権で男女とも団体優勝を果たした同学園のエース格としてチームを牽引した。
その荒木は、昨年12月にジャパンナショナルチーム入りしてカルチュアショックを受けたという。
「ナショナルチームのメンバーになれたことが、本当にうれしかったのですが、合宿に参加させてもらって“えっ、そうだったんだ”と思わされることがたくさんあって、ゴルフというゲームのとらえ方が一変しました」
4歳でゴルフを始めた。祖父が熊本県でゴルフ練習場を経営していたこともあり、環境に恵まれてい
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た。遊び代わりにボール打ち。当たるようになり、いいショットが出るとうれしくなって、さらに熱心に練習するようになっていった。それが荒木にとってのゴルフの原点となっていたので、ショットでプレーを組み立てていくのが荒木の基本プレースタイルになっていったのは自然な流れであっただろう。
ジュニア競技会に出場するようになっても、ショットでスコアを作るスタイルは変わらなかった。ナショナルチーム入りするまでの自身のゴルフスタイルを荒木は、こう振り返っている。
「感覚派です。ホール攻略法なんて頭になく、思いのまま、気の向くままに振り、打っていく。むやみに攻めて自滅するタイプ。それが私でした」
ナショナルチームの合宿では、トレーニング方法を指導していただいた他に、ホール攻略法も教えていただきました。技術的なことではなく、ホールによってどこを狙っていくのか、どこに打ってはいけないのか、自分の現在のショット力に応じたゴルフの組み立て方も学ばせていただきました。スコアを壊さないゴルフも教えられました」
第1日。ショットの調子は、それほどよくなかったという。そこで、荒木は第1日のテーマとして「スコアを崩さないゴルフ」を自分に言い聞かせた。17番まで1バーディ・1ボギー。無理をせず、ストレスのない内容であった。迎えた18番。距離の長い(436ヤード)パー4ホールでドライバーショットはフェアウェイをとらえた。ピンまで182㍎。手にしたクラブは4U。アドレスに入る前にショットイメージが明確になっていた。こうしたときは、感覚派の自分が頭をもたげる。「これは、うまく打てる」。バンカー越えに立つピンを攻めた。ややつま先下がりのライで素直に打てばフェードボールになって、ピンに寄っていく。イメージどおりの弾道となってピンそば50センチ。
ナショナルチームの教えの最後に感覚派ゴルフをプラスしての1アンダーパー70というスコアが生まれたのだった。
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