昨年12月にナショナルチーム入りした荒木優奈は、チーム合宿で教えられたゴルフの組み立て方を大事にしている。
「距離が長く、難しいコースでは攻めてバーディをたくさん獲るよりもボギーを打たないマネジメントを優先させる、ということです」
本来攻めるゴルフを得意にしてきたという荒木にとって、心が躍るようなゴルフをしたがるところ(実際に昨年までは、強引な攻めでスコアを壊すことが多かったという)。日本ジュニアゴルフ選手権の舞台である霞ケ関カンツリー倶楽部は、そうしたやりたい放題のゴルフを拒む難しさがある。ワクワクのプレーよりも心に波風を立てないゴルフを優先させることがスコアメイクのポイントにな
る。そうした中で、チャンスがくれば確実にモノにしていく集中力も求められる。
東京オリンピックと同じピン位置でのプレーで、荒木はそれを楽しめるようになっている。
インからスタートしてチャンスがきたら決めていく。ピンチを招くような攻め方はしない。それを心に決めてプレーしているうちに、「これこそが、自分がやるべきプレースタイルなんだと、はっきりとつかめて認識できました」
インは3バーディ(ボギーなし)で32。アウトにターンしての2番で4パットのダブルボギーという「想定外のダブルボギー」もあったが、心がざわつかせるようなこともなく、淡々と(そう見える)プレーを進めた。そして7番パー3ホールをバーディにしての69。表情を崩したのはホールアウトしてからだった。
「いつも2日目にスコアを崩すことが多いので、そこはひとつの山を乗り越えたような気がしています」。それが、成長の証なのであろう。
熊本の実家を離れ、宮崎県の日章学園に進んだ。寮生活である。自室で欠かせずに続けてきたことがある。パットマットを置いて、100球続けて入るまではやめられないという自分への取り組みだ。1球でもはずしたら、また最初の1球に戻って続けなければならない。そんな地道な練習を続けてきたからこそ、第2日の4パットも穏やかな気持ちで受け止められた。
「目標は優勝です。でもがっついたゴルフはしたくありません。2日目までのように穏やかな気持ちで、さらにオリンピックと同じピン位置のゴルフを楽しんで終わりたいです」
トータル3アンダーパーで2位タイ。目標達成には絶好の位置で最終日を迎える。
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