あれほど緊迫した優勝争いであったのに、プレーオフは1ホールめであっけなく終わってしまった。10番パー3ホール。UTクラブでのティーショットはピンに向かったが、わずかにショートして花道に止まった。そこから1・5メートルほどに寄せて、荒木のバーディパットを待った。宮崎・日章学園では同級生で全国制覇したときのチームメイトでもある。仲もよいという。それが、かえってやりにくかったのでは?
「いえ、そんなことはありません。日本ジュニアは個人戦ですから、仲間意識は度外視してプレーしました」
荒木のバーディパットは、カップ真ん中から決まった。決着したのだが、菅は、残したパーパットをどうするのか迷っ
ていた。ホールアウトすべきなのか、それともピックアップしてもいいのか…。「なにしろ初めてのことなので、すぐには判断できませんでした。競技委員の人に決着したからピックアップしていい、といわれて拾い上げたボールは、ちょっと重く感じました。ちょっと悔しい思いが、そう感じさせたのかもしれません」
敗戦の中で学んだことがある。本戦の18ホール。ゴルフの内容で菅は荒木を上回っていた。4~6㍍のバーディパットを何度はずしたことだろう。
「ショットがよくても、それをスコアにするパッティングを決め切れないとスコアは伸ばせませんよね」
今大会で突き付けられた課題だという。「1~3メートルのショートパットはあまりミスすることはありません。次は、それよりも長い距離のカップイン確率を高める練習をしていきたいと思います」
本戦の18番グリーン。2オンした菅は「ここで勝負を決めよう」とバーディパットを強めにヒットした。これが2メートルほどオーバーして、荒木にバーディパットを決められると、逆に追い込まれてしまった。「絶対に決めなければいけなくなったパーパット。これ以上にないほど集中してストロークできました。ああいう場面の経験が自分を成長させることにつながると思いました。だから、今回は負けてしまいましたが、こういう優勝争いが何回もできるように出場する試合ではやっぱり優勝争いができるポジションでのプレーをこれからも積み重ねていきたいです」
敗れたことでつかんだ菅のこれからのテーマであった。
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