今回会場となる下関ゴルフ倶楽部は、1952年に川棚温泉ゴルフ倶楽部という名前で設立され、その後、18ホールに拡張する計画により1954年、八ケ浜に9ホールの工事に着手。しかし同年8月に資金難に陥り、地元・大洋漁業株式会社の中部利三郎が乗り出し、翌年の1955年に「下関ゴルフ倶楽部」と名称を変え、中部利三郎が理事長に就任という歴史がある。中部利三郎の三男は、日本アマチュアゴルフ選手権を6度制した伝説のアマチュアゴルファーとして知られる中部銀次郎がいるが、彼の長男である中部隆が今大会出場している。67年の時を越えて祖父が作ったゴルフ場で、孫が日本ミッドアマチュアゴルフ選手権で上位争いをしているのだ
から不思議なものである。
第1ラウンドに続き第2ラウンドも3オーバーパー、通算6オーバーパーの8位タイで明日の最終ラウンドを迎える。ホールアウト後の取材では、ショットもパターも満遍なく良いというが、「ミスをしたらボギーで上がる」ことを徹底したマネジメントが功を奏しているという。それだけではない。「僕の爺さんが作り、親父がここでゴルフを始めたコース。昨日今日と先祖に守られながら実力以上のプレーができた感じがします」と言うように「森の白浜」といわれるほど松一色のコースに囲まれながら、何か神秘な力を感じている。
自身が代表取締役社長を務める会社の本社が神戸にあり、ホームコースは廣野ゴルフ倶楽部。今年の関西ミッドアマチュア選手権の会場が廣野。そして日本ミッドアマチュアゴルフ選手権の会場が下関ゴルフ倶楽部。自身に縁のある2コースで行われる試合に出ることを今年の目標にしていたといい、「先祖が作ったコースでJGAの試合が出来て、そこに自分が出場できる経験なんてそう味わえないので幸せですね」と笑う。
クラブハウスには中部利三郎、銀次郎の写真が飾られている。
明日10打差の逆転劇が起きた時、クラブハウスにもう1枚、新たな写真が飾られるだろうか。親子三世代、みな松が似合う。
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