「65か66が今日のベストスコアになるかも知れない」と予想してくれたのは、内田淳二大会競技副委員長だった。
終わってみれば、67がベストスコアで予想よりも2ストローク差があった。それは、コースのドッグレッグの悩ましさとグリーンの硬さだったのかも知れない。ドッグレッグの中には、例えば左ドッグレッグだとすると、ちょうど狙いをつけるカーブあたりに1本とか木が迫っていて、その葉ぶり枝ぶりが邪魔をしてしまうことで、難度を高めているケースが目立つ。さらに速さもさることながら、グリーンの硬さである。手前へと狙いをつけても、それが跳ねてオーバーしてしまうことで、縦距離に悩まされ、返しのパッティングに苦労
する。正当に手前に落としてもラインやタッチに苦労する。そういうカウンターブロー的な目に見えない悩ましさが、予想と2ストローク差を産んだのかも知れない。
その攻略法はさまざまだ。杉浦裕太のように7ホールもドライバーを持たずにいた選手もいれば、鈴木隆太のように「すべてドライバーで攻めました」という選手もいる。元来「刻む」という日本語は、英語の「レイアップ」に相応しいのかと考えることがある。むしろ「刻む」よりも「置きにいく」と表現したほうが適切かも知れない。それがコースマネジメントの言葉らしいと思う。それはさておき、鈴木は、果敢にドライバーで攻めた。「確かにラッキーもいくつかあったと思います。ギリギリのところでしたね。僕も、どちらかといえばフェードヒッターなんですよ。だから、今日は、頑張ってドローでやってみたんです。危ないところもありましたけど、ラッキーで助けられました」という。例えば4番(パー4)は、頑張った甲斐がありました」その鈴木は、現在、日本体育大学ゴルフ部3年生。すぐ近くの先輩に中島啓太や河本力がいる。「中島さんや河本さんは、ほんとに素晴らしい輝きなんです。そういう先輩の姿を見ていると、僕なんか到底足元にも及ばないっていう感じがしますね。うーん、1割ぐらいしか届いていない感じです」といいながらも、着々と力をつけている。
第1ラウンドは、10番からのスタートだった。いきなり11番(パー5)でイーグル。13番ではチップインを決めてのバーディ。15番でもバーディを奪って、6ホールで4アンダーパーとなった。ところが16番から折り返しての4番までの7ホールでパープレーが続いた。そして5、6番とバーディを奪い、8番でボギーを叩くも9番で取り返して通算67というスコアだった。「今日のようにラッキーがどれだけあるかわかりませんけど、明日もアンダーパーでラウンドしたいと思っています」と果敢な攻略法は変えないでいるのだろう。選手たちにとって、全体飛距離はそれほど長くないけれど、悩ましきコースセッティングとレイアウトにどう立ち向かうのかもキーポイントになるに違いない。
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