岡田晃平は、このコースに苦手意識を持っていた。「ドローボールを要求されるホールが多いことと洋芝ですね。どうしても思い切ったプレーをさせてくれない会場が、このところ多くて、その歯がゆさがあったんです」と語った。第1ラウンドの73というスコアが、その表れだった。第2ラウンドで69をマークしても、まだ身体の中の歯がゆさは消しされていなかった。そして第3ラウンドで、岡田は6アンダーパー・66のスコアをマークして、一気に上位に食い込めたのである。
「今日の内容は、0点に近いですね。良いショットを1発も打っていなかったですから。でも、このスコアで上がれたということは、やっぱり、心は折れていませんでし
たから。それだと思います」とディフェンディングチャンピオンの意地を匂わせた。1番で3メートルを沈めてバーディ。6番、そして9番と前半で3バーディを奪った。「洋芝に少し順応してきたのかなと思います。でもまだ迷うことがいくつもありますね」わずかにグリーンを外したエッジまわり。いつもなら岡田は迷わずウェッジを手にする。ところが洋芝に対する不安感が勝って、パターで寄せていく方法を選んでいる。そんな微妙な、いつもとの違いにも苦手意識が増幅されたのだろう。
後半、10番、11番とバーディを奪って、さらに15、16番とバーディを重ねた。4つのパー5で3バーディ。16番(510ヤード・パー5)では、ティーショットを4番アイアン。残り265ヤードをユーティリティーでグリーン右サイドのカラー。そこから2パットでバーディ。ボギーは、次の17番(パー3)だけだった。「ちょっと風に惑わされました」という。岡田の言う「歯がゆさと不安」は、例えば「ひょっとしたら想定外のミスが出るんじゃないかって思っちゃうんですよね。でも、気持ちは負けていませんからね」と語る。ディフェンディングチャンピオンという立場は「やっぱり昨年勝ったので、負けたくないという意識は強くあります。ちょうど僕は、日本アマに出場して6回目になるんですよ。最初がこの北海道のブルックスでしたから、今年は、QTを受ける予定なので、最後の日本アマ挑戦になるわけです。その締めくくりも北海道。なんか、いい縁を感じますよね。はい、宿泊ホテルも、ブルックスのときと同じなんです」
岡田が、第3ラウンドのプレーを終えた直後に、雷雲の影響で中断した。「ね。まだ、僕、もってるでしょう?」という笑顔は、一点の曇りもなかった。
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