中野麟太朗は、ホールアウトして、体全体から充足感に満ちあふれていた。第3ラウンドを66でまわり通算13アンダーパー。2位の杉浦悠太に1打差で首位に立っている。「今日は、うーん、緊張感というよりも、なんて言ったらいいのかなぁ……ずっとワクワク感でしたね。18ホールが終わったときに、“え?もう終わっちゃうの?”そんな感じで、もっともっと回っていたいという気分でした。そのくらいひとホールが終わるのが速く感じましたし、杉浦選手とのラウンドをずっと続けていたいと感じていました」と語った。
中野は、昨日の第2ラウンドが悔しくて、残念で仕方がなかった。ショットが乱れ、左右にばらついてスコアメイクに苦労
したからだ。スコアでは確かに68だったけれど納得がいかなかった。そして、試合後の練習でショットを整えようとした。フェードだけでなくドローボールも要求されるホールが多い。フェード、ドローと打ちわけようとしているうちに「なんだかわけがわからなくなり、今朝の練習で、やってみたら、あれ、できるじゃん、自分。どっちも出せると思ったんです。確かに、“ここはドローで”と思って構えて打つとドローが出たりして、ショットが、自分の意のままに整ったんですよ」ショットもパッティングもよくなり、結果的に66のスコアとなった。緊張感ではなく、ワクワク感。そして自在に操れるようなショット。きっと、これをゾーンに入った状態というのだろう。中野は、そのゾーンに入ったプレーで充足感に浸れたのだった。
1番でいきなりバーディ。6番も1メートルを沈めてのバーディ。9番もバーディとし前半を33で折り返した。中野の強みは、洋芝のラフの対応能力だった。ニュージーランドで1ヶ月のゴルフ合宿で慣れ親しんでいた。10番では、左ラフから50センチにつけてのバーディ。11番(パー5)も3打目を手前ラフから1メートルに寄せてのバーディ。16、17番のバーディも同様だった。唯一のボギーは、18番だった。「ちょうどトップから切り返しに入るところで、目の間に蜂がスーッと通り過ぎてミスショット。それだけですね」と語った。
中野は「(試合中)アドレナリンがでまくるタイプで、今日も(そんなときには)2番手違うクラブを持ちました」と言い、杉浦との激戦を「お互い高めあえて最高だと思います。実績も彼のほうが上だし、最高の相手だと思います。もちろん、自信あります」と、インタビューのときでも、まだ、アドレナリンが吹き出ていたような感じだった。明日の激戦が、待ち遠しい。
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