アテスト後、そこには唐下明徒(東北福祉大学3年)の笑顔があった。
「JGA主催競技で久しぶりにビッグスコアを出すことができました」。唐下が8バーディ・ノーボギーで、第2ラウンドのベストスコア『64』をマークした。
2019年、瀬戸内高校2年生時に岡田晃平や杉浦悠太といった一つ上の3年生を抑えて日本ジュニアのタイトルを奪取。鳴物入りで東北福祉大学へ進学した。
「自分の記憶では試合でこのような好スコアをマークできたのは、2年前の日本学生以来ですね。あの時は3日目に首位に立ったのですが、最終ラウンドに優勝した平田憲聖(当時大阪学院大学3年)に逆転されてしまって……」。それ以降、苦しい時間が続いた。
本選手権、第1ラウンドは4オーバーパー。「目の前にカットラインいう壁が出てきて。第1ラウンドが終わった後、スネちゃいまして(笑)練習もせず、一人でホテルへ帰って、色々と考える時間を作りました」。自分を見つめ直す時間を作ったが、なかなかネガディブな思考が頭から抜け切れない。長い夜を過ごした。
ところが第2ラウンドの朝を迎えると、「何があったわけではないけれど、気持ちが楽になりました。“スコアのことは気にせず、自分がやりたいプレーを、目の前の一打一打に集中するだけだ“と切り替えてプレーできました」。
それまで苦しみ、もがき続けた唐下が、ようやく持ち前の攻めのゴルフを展開する。1番ホール、第1ラウンドは3番ウッドを使ったが、「今日はスコアを縮めるしかない!と、ティーショットはドライバーを使ったんです。それが功を奏して、バーディでスタートすることができました」と嬉しそうに話した。
先日の関東学生ゴルフ選手権でも3日目に「66」の好スコアだったが、最終ラウンドに「80」と大叩きして失速。好不調の波はまだあるが、確実に“強い唐下”が戻りつつある。
「大学のコーチからはあとは気持ちの問題だと言われています」。実績から言えば、本来チームのエース格として活躍が期待された団体戦も、この一年はチームに貢献できなかった。本当に悔しい時間を過ごしてきた。
「明日からのラウンドは気持ちを楽にプレーしたいですね。」と笑顔を見せた唐下。2年前の雪辱を晴らせるか。第3ラウンド以降の唐下のプレーが楽しみだ。
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