日本アマチュアゴルフ選手権チャンピオンの称号を持って本選手権に臨んだ中野麟太朗(早稲田大学2年)。しかし、第1ラウンドでトップと10打差の45位タイと大きく出遅れてしまった。それでも、第2、第3ラウンドで66をマークして、通算11アンダーパーの3位に順位を上げて優勝争いに加わってきた。そして迎えた最終ラウンド。首位の小林がボギー先行でスコアが停滞する中、中野は5番でバーディを奪うと、7、9番でもスコアを伸ばし、前半を終えて小林に1打差に詰め寄った。後半も15番に続き16番(パー3)で連続バーディを奪取。通算16アンダーパーで小林と首位を並走。ここで一気呵成に逆転といきたいところだったが、小林が
初出場とは思えないプレーをみせて17番でバーディを奪い、中野は1打リードを奪われる。最終18番(パー5)で2メートルのイーグルチャンスをものにできず、バーディでホールアウト。中野はこの日6バーディ・ノーボギーと3日間連続の66をマークし、通算17アンダーパーとしたが、戴冠には1打足りず、原田盛治、中部銀次郎、倉本昌弘、川岸良兼、宮里優作、甲斐慎太郎に続く史上7人目の日本アマと日本学生の同年ダブルタイトルはならなかった。
ホールアウト後、「この試合では最終ラウンドに自分を最高の状態に持ってくることが出来たと思いますが、それでも足りなかったということ。それが1打差という結果です」悔しさをにじませる中野。最終ホール、決めれば小林とのプレーオフの可能性もあったイーグルパットは、「強い傾斜にかかっていて……でも、あれは入れなければいけない」と、無情にもカップインすることはなかった。今日のプレーは「最後のパッティングは残念だけど、それ以前の積み重ねかと思います。悪かったところはなかったし、チャンスはあったと思います」というだけに、日本学生チャンピオンを逃した悔しさは募る。
振り返ってみれば、第1ラウンドの出遅れが響いた結果だが、「最後にこの順位にこられたのは、成長しているのかなとも思います。自分の調子は悪くなかったし、自信も感じることが出来ました。ただ、自分は2位が多いゴルフなんで……いやぁ優勝したかった」自嘲気味に笑いながらも、日本アマチャンピオンの矜持は見せられた。「ここで優勝して自信をつけるのも良いと思いますが、2位という結果には自分に足りないものがあるということ。それを探していかないといけないと思わされました。まだまだです。もっと成長していきたい」タイトルを逃した中野だが、勝利では得られないものを掴んだ。この気持ちがある限り、中野はさらに飛躍してくれるだろう。
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