通算3アンダーパーで連覇に向けた最終ラウンドをスタートした水上晃男。最終組スタート前に降雨があったが、「雨の影響でグリーンコンディションが変わって。コンパクションも下がり、少しスピードが落ちているように感じた」とグリーンコンディションの変化を感じ取り、すぐにパッティングのタッチを合わせて1、2番と連続バーディを奪取。4番、7番とボギーを叩いたが、8番でバーディを取り返し、前半を1アンダーパーで終える。
風が強くなり始めた後半は、11番(パー3)でティーショットをグリーン奥にこぼしてボギーとしたが、「後続との差があったので、自分で大きなミスをしないように。とにかく安全に」と2日目であわやO
Bというミスが出た14番のティーショットをアイアンで放つなど徹底したマネジメントで危機を未然に回避。15番でバーディを奪ったあとは、スコアカード通りの盤石なプレーで、この日4バーディ・3ボギーの71でホールアウト。通算4アンダーパーで本選手権7人目の連覇を果たした。
水上の強さは、ショット力とマネジメント能力の高さにある。コースコンディションの変化を読み取り、最適解を導き出すプレーの裏には、たゆまぬ努力がある。9月には試合が続くスケジュールの中、6月から3ヶ月間はトレーニングに時間を割いたという。ウォーキングや自転車漕ぎによる持久力のアップと、柔軟性を伴った筋力強化。その成果もあって4キロほど体を絞れ、過密スケジュールを乗り越えて充実の秋を迎えることができた。特に、難グリーンの佐賀クラシックゴルフ倶楽部では、「グリーンから攻略を考えないといけない」ゴルフ脳をフル回転することが求められるという。「最後までしっかりと考えてマネジメントができたのが大きい」と、54ホールを考え抜く集中力を保つことができたのもトレーニングのおかげ。さらに、トレーニングは3日間でグリーンを外したのは、4回か5回という抜群のショットの安定感にも繋がっていた。
最後に、早くも3連覇に水を向けられると、「再来年は、高橋雅也選手や井関剛義選手ら活きが良い選手が日本シニアの年齢になるんです。そうなると自分は厳しいかも(笑)だから、来年はぜひ3連覇を目指したい」と1981年から3連覇を達成した山口梅吉以来の快挙達成に向けた意欲をにじませる。「再来年は厳しいかも」というのは、水上独特の言い回しだろう。「65歳までは現役で頑張りたい」と目標を示し、それに向けてたゆまぬ努力を続ける選手なのだから。
|