大会3日目は、第3ラウンドの18ホール、そしてプレーオフ3ホールの計21ホールを戦い抜いた豊島。この日は“強風と雨”で多くの選手がスコアを崩していく。首位でスタートした豊島も例外ではなかった。「翻弄されました……芥屋ゴルフ倶楽部に」と話すように、ストートホールからダブルボギー、ボギーといきなりスコアを崩していく展開になった。
それでも「焦りはなかったですね。同組でプレーしている選手も序盤でダブルボギーを打っていましたし、みんな同じ状況だと思っていたので」と平常心でプレーを続けていた。
ハーフ終了時には前の組でプレーする谷本伊知郎に1打差まで迫られて気合いを入れ直した。
昨日までの
2日間も序盤は調子が上がらず、耐えて好機を伺っていたが「耐えようとしていても、ズルズルといっちゃって。結果的に70台でプレーできないところも不甲斐ないです」と百戦錬磨の豊島でも思うようにはできなかった。
17番ホールを終えて、2打リードしていた豊島の最終18番ホール。「相手のスコアが分からない状況でしたから、最後はパーでいいと思っていた。その気持ちが逆に3打目の緩みに繋がってしまった。それがバンカーに、しかも目玉になって」と結果は痛恨のダブルボギーとしてしまい、通算8オーバーパーで谷本と首位タイとなった。
谷本とのプレーオフは互いにパーで2ホールを消化し、迎えた3ホール目。谷本のティーショットが左のバンカーに捕まった。ここはチャンスとばかりに3番ウッドを手にして振り抜いたセカンドショットは見事グリーンを捉えた。「あのショットが谷本選手にプレッシャーをかけられたと思う」と、勝負を分ける1打になった。
優勝を決めた瞬間の1番グリーンは静まり返っていた。
「寒かったですからね。みなさんティーショットは見守ってくれましたけど、グリーンまでついてくる方はいなかったですから。しんみりと決着がつきました」と最高の瞬間を笑いで表現した。
終わってみれば上位をベテラン勢が占めた今大会。
「上がってみれば谷本選手や小原選手が上位にいた。今日が晴天であればまた違った展開で、若手が上位を占めたかもしれない」。40歳を超えていまなお進化を止めない豊島の背中を追って多くの若手が台頭してきているのも事実だ。
豊島の本選手権初の3連覇という偉業達成に、「きっと私が生きている間には超えられることはないかもしれないですかね」と感慨深げに話す。
2023年は豊島にとって最高の1年になった。
「関東ミッドアマチュアゴルフ選手権優勝」、「日本アマチュアゴルフ選手権競技22位タイ」、「日本オープンゴルフ選手権競技64位タイ」、「日本ミッドアマチュアゴルフ選手権競技優勝」と、いずれも自己最高位、そして勝利数を更新した。
来年の会場は兵庫県の高室池ゴルフ倶楽部。更に記録を伸ばしていくのか、すでに来年の活躍に期待がかかる。
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