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【中国チームは国体と同メンバーで昨年大会5位の雪辱を期す】

関藤侑嗣
吉田好輝
大石敦也

混戦を抜け出して初優勝に大きく前進した中国チーム。昨年大会5位の成績を大きく上回る躍進の原動力になっているのが、個人戦単独首位に躍り出た関藤侑嗣。

「今日は、アンダーパーで回りたい」と意気込んで1番ホールをスタートした関藤だが、3番ウッドを使ったティーショットをダフリ、200ヤードも残ってしまった2打目は4番アイアンでグリーン左バンカーへ。3打目はグリーン奥にこぼすなど、いきなりのダブルボギーに、すぐに「今日はパープレーを目標にしよう」と気持ちを切り替え、2番で3メートルのバーディパットを沈めてバウンスバック。4番(パー5)も狙い通りバーディを奪うと、6番(パー3)では200ヤードのティーショットを5番アイアンで6メートルにつけ「読みもタッチも完璧」上りのスライスラインを見事に決めて見せる。

8番はボギーとしたものの、前半で目標のパープレーまでスコアを戻してきた。後半も関藤の勢いは止まらない。10番(パー5)でグリーン手前からアプローチをしっかりと寄せてスコアを伸ばすと、325ヤードと距離の短いパー4の13番では、ドライバーでティーショットを放ち、2打目は残り50ヤード。これをウェッジで確実に寄せ、2アンダーパーまでスコアを伸ばしてきた。

しかし、「ティーショットが打ちづらい」と苦手とする14番でティーショットを右の林に打ち込んでから雲行きが怪しくなる。関藤が14番に続いて「苦手」とこぼす15番もティーショットを「置きにいってしまい」右にミス。16番では3パットで3連続ボギーを喫してしまい、一気にスコアを1オーバーパーまで落としてしまった。そして迎えた最終18番(パー5)。ティーインググラウンドで関藤は、「ここは攻めよう」と気持ちを固め、ドライバーを強振。このショットがきれいな放物線を描いてフェアウェイを捉えると2打目をグリーン手前のラフまで運び、フックラインのパットを決めてバーディフィニッシュ。狙い通り、この日イーブンパーでホールアウトした関藤は、通算3オーバーパーで個人戦首位に立った。強気の攻めが奏功しての好スコアに、笑顔が弾ける。

昨年大会では、2013年にJGAナショナルチーム候補選手にもなった兄の直熙が本選手権に出場しており、兄弟で中国チーム代表選手に選考された。兄と同じ広島国際学院高校に進学した今年は、昨年の日本アマチャンピオンでナショナルチームの主力として活躍する金谷拓実も在籍。日の丸がついたキャディバッグで戦う金谷を見るにつけ、ナショナルチームへの憧れを強くした。「いつかは、あのキャディバッグを使いたい」その足がかりとしても、本選手権でのタイトルは誰にも渡せない。「明日は、個人戦もチーム戦も優勝したい。自分がチームを引っ張りたい」最後のコメントも今日のプレー同様、強い気持ちが現れたものだった。

個人戦で関藤に1打差の2位につけているのがチームメイトの大石敦也。会場のフェニックスCCには、遠く広島県からダンロップフェニックスを観戦に足を運んだこともあるという憧憬の地。世界のトッププレーヤーの熱戦も記憶に残るこの舞台でのプレーは、「メンバーに選ばれてから、この試合がほんとうに楽しみだった」と、気持ちも高ぶっている。

この日は、2番で2.5メートルのパットを沈めてバーディが先行。5番でティーショットを右の林に打ち込みダブルボギーを喫すると、8、9番と連続ボギーで前半を3オーバーパーと苦戦する。それでも、「自分は後半のほうがスコアが出せそう」とイメージしている住吉コースでのプレーで、自信を深める見事なプレーを見せた。10番(パー5)で残り190ヤードのバンカーからの2打目を7番アイアンで2.5メートルに乗せる。これは決めきれなかったものの、バーディを奪うと、12番では、170ヤードのセカンドショットを8番アイアンで50センチにつけるスーパーショットでバーディ。15番はボギーとしたが、後半で35をマークして、2オーバーパーでホールアウト。関藤とともにチーム戦首位奪還に貢献した。「チーム戦は、関藤君が引っ張ってくれると思う。自分は個人戦で頑張りたい。前半をしのげれば、60台も出せると思う」と今日の自信を確信に変えるプレーを誓った。

吉田好輝は、スタートの1番で大きく躓いた。グリーン手前バンカーからの3打目をグリーンオーバーさせるなどミスが続いてのいきなり4つスコアを落としてしまう。「まだ1番が終わったばかり。ここから取り返そう」と気持ちを切り替えては見たが、2、3番の連続ボギーで、「これはヤバイ」と焦りは募る。その後は10番までスコアカード通りのプレーも「耐えに耐えたパーばかり」とプレー内容は好転せず、11、13、16番でボギー。17番(パー3)では、ティーショットを池に打ち込みトリプルボギーを喫し、この日は84と大きくスコアを落としてしまった。チームメイトから「吉田選手のティーショットは殆ど曲がらない」と評される安定したプレーが持ち味の吉田には考えられない不調に、自嘲気味の苦笑いを見せた吉田。「とにかくティーショットの左にミスすることが多くて…これから練習場で調整します」と、チームメイトともにドライビングレンジに向かった吉田。今年の岩手国体と同じメンバーで気心がしれている中国チーム。お互いを気遣いながら、明日のチーム優勝に向けて、暗くなるまでショットを打ち続けていた。

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