2024年シーズンのナショナルオープン本選出場をかけた予選競技は27試合あり、33名のJGAレフェリーが担当しました。レフェリーは試合ごとに行った裁定のすべてを報告しなければなりません。この報告はオンラインによって現場のチーフレフェリーやディレクターと共有され、裁定の確認、見直し作業と、将来のレフェリー育成のために活用されています。
2024年の予選競技でレフェリーが対応し、裁定した件数は275件。単純計算すると1試合で10件近くのルーリングが発生していることになります。裁定された内容のランキングは次のようになります。これらの規則は競技であるかどうかにかかわらず頻繁にコース上で使われるものですので、プレーヤーとして知っておいた方が良いので参考にしてみて下さい。
1位 66件 異常なコース状態からの罰なし救済 (規則16.1)
異常なコース状態による障害が生じた場合、プレーヤーは罰なしに救済を受けることができます。完全な救済のニヤレストポイントを決定し、1クラブレングスの救済エリアにドロップするという処置は、ほとんどのゴルファーがコース上で経験したことがあるでしょう。
「異常なコース状態」は、動かせない障害物、修理地、動物の穴、一時的な水の総称です。今年発生したルーリングの内訳は:
・道路・・・30件
・一時的な水・・・7件
・修理地・・・6件
・U字排水溝(動かせない障害物)・・・5件
2位 41件 ペナルティーエリアからの罰あり救済(規則17.2)
球がペナルティーエリアに入ったことが「分かっている、または事実上確実」な場合、1罰打で救済を受けることができます。「分かっている、または事実上確実」とは球がペナルティーエリアに入ったことが確実な証拠があることを意味しています。
ペナルティーエリアからの1罰打の救済の選択肢は次の3つ:
・ストロークと距離の救済(直前のストロークをした箇所に戻る)
・後方線上の救済(球がペナルティーエリアを最後に横切った地点とホールを結ぶ線上でペナルティーエリアの後方にドロップ)
・ラテラル救済(球がペナルティーエリアを最後に横切った地点から2クラブレングスの救済エリアにドロップ)
3位 24件 紛失球 (規則18.2)
レフェリーは球の捜索に立ち会うことがあります。球を捜索する時間は球を探し始めてから3分間。そして球を見つけてから確認のための時間(1分)が認められています。捜索時間内に球を確認することができなければ紛失したものとして1罰打を加え、直前のストロークをした箇所に戻らなければなりません。
4位 20件 目的外グリーンからの罰なし救済 (規則13.1f)
目的外グリーンとは、プレーヤーがプレーしているホールのグリーン以外のグリーンを意味します。例えば、使用しない予備グリーンや、隣のホールのグリーンのことです。球が目的外グリーンにのったり、スタンスやスイング区域の障害となった場合、罰なしに救済を受けなければなりません。この救済は「選択」ではなく、かならず受けなければなりません(強制)。救済処置は完全なニヤレストポイントを決定し、1クラブレングスの気優彩エリアに球をドロップします。
5位 17件 地面にくい込んだ球の罰なし救済 (規則16.3)
ストロークした球がその勢いで地面にくい込んだ場合、罰なしに救済を受けることができます。とくに夏場の深いラフに球が入った場合、球が地面にくい込んだのかどうかを判定するためにレフェリーが呼ばれることが多いです。罰なしの救済を受けるためには、球の一部が地表面より下にくい込んでいなければなりません。プレーヤーは救済を受けることができる状態にあるかどうかを確かめるために、球をマークして拾い上げることができます。もし球が地面にくい込んでいなかったら球をふかずに元の箇所にリプレースしなければなりません。
救済を受けることができる場合、球が地面にくい込んでいた所の直後の地点を基点にして1クラブレングスの救済エリアに球をドロップします。
6位 12件 棄権 (規則3.3)
ラウンド中、体調不良や怪我によってプレーヤーが棄権する場合、レフェリーが立ち会って、棄権の申し出を受け、マーカーを変更し、スコアカードを差し替えます。マーカーの変更とスコアカードの差し替えの手続きはプレーヤー間で行って後で委員会に承認してもらうことも可能です。
7位 10件 グリーンリーディングブック (規則4.3)
パッティンググリーンを読むための資料は規則4.3によって制限されています。ローカルルールが制定されていなくても、プレーヤーは規則4.3はグリーンリーディングブックのサイズと縮尺の規定に適合する資料を使用しなければなりません。プレーヤーから質問を受けたレフェリーは特殊なゲージを使用して、その資料が適合しているかどうかを確認します。
8位 9件 張芝からの救済 (ローカルルールF-7)
シーズンの前半ではコースに張芝がある場合が多く、張芝の継ぎ目に球が入った場合の罰なし救済のルーリングが多く発生します。救済は張芝の継ぎ目を避けられる完全な救済のニヤレストポイントを決定して、1クラブレングス以内に球をドロップします。
9位 7件 アンプレヤブルの救済 (規則19)
球がブッシュの中に入ったり、木の上に止まったりしてあるがままにプレーできない場合、アンプレヤブルの救済を選択することができます。1罰打で3つの選択肢があります。
・ストロークと距離の救済(直前のストロークをした箇所に戻る)
・後方線上の救済(球とホールを結ぶ線上でその球の後方にドロップ)
・ラテラル救済(球から2クラブレングスの救済エリアにドロップ)
なお、バンカー内の球に対して2罰打でアンプレヤブルの救済を受ける事例(規則19.3)は1件もありませんでした。
10位 6件 パッティンググリーン上の球が動く (規則13.1d)
パッティンググリーン上の球が自然に動いた場合の規則は2つあります。
パッティンググリーン上の球を拾い上げる前に、その球が傾斜や風で偶然に動いた場合、罰なしに球は新しい位置からプレーしなければなりません。
パッティンググリーン上の球を拾い上げ、リプレースした球が偶然に動いた場合、罰なしに元の箇所にリプレースしなければなりません。
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