心に波風を立てることなく、穏やかにラウンドする。原因も結果も素直に受け入れる。室田は丸くなっていた。闘争心も、むき出しにするのではなく、静かに内に秘めるようになった。
レギュラーツアーではシード権を確保したことがない崎山は、シニア入りを前にして自分を変えることに挑戦していた。ゴルフを始めたのが社会人になってからの21歳。そして24歳を前にしてプロゴルファーを目指し、研修生になった。5年の歳月を費やしてプロテスト合格。室田、加瀬秀樹、横山明仁らの雑草軍団としてゴルフに取り組んできた。
シニア入りを前に肉体改造を図った。福岡のトレーニングジムを紹介され、身体機能の向上、改善を目的にしたマンツーマン指導で、トレーニングメニューも決まった。
「いわゆるマッスルトレではなく、ストレッチ中心のメニューです。それからは毎日、朝と晩1時間ほどずっと続けています。ストレッチといっても、筋肉痛になるほどきついですよ」
関節可動域が広がり、持病になっていた腰痛も和らいだ。不思議なことに、ショットに対する考え方も変わったという。
「迷いを取り除いただけなんですけどね。以前は、ショットの前に“あのバンカーには入れたくないとか、あの池に捕まりたくない…とか、余計なことを考えて、1打に集中できませんでした。今は、ターゲットを決めたら、迷わず、惑わされずに決めたところに打っていけるようになりました。それが、好成績につながっているように思います」
二強は、それぞれに進化している。
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