Championship Reports競技報告
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2人の雨中のプレーオフを制したのは15歳344日の松山茉生だった。雨に強い男が、2015年大会の金谷拓実の17歳51日を更新する史上最年少優勝記録を更新した。
プレーオフは10番ホール(パー4)と11番ホール(パー4)の繰り返し。まず10番ホールはお互いにバーディで引き分け。先に山下勝将が2メートル強のバーディを決め、決め返さなければ負ける2メートル弱のバーディパットの際は、さすがに手が震えたと言う。
「山下さんに先に決められたんですが、ラインはわかっていたので、そこに何も考えずに打つだけだったんですけど、手は震えていました」。
手が震えるほどの緊張の中でも自分のプレーができたのは、キャディを務めた父親の存在が大きかった。ゴルフを始めるきっかけを作ってもらい、今年の春に福井工大福井高校に進学して入寮するまでは父親がコーチを務め、型にはめない指導を受けてきた。その信頼する父親の支えが、緊張する場面で支えになったことは間違いない。
また、高校に入学してから僅か4ヶ月ほどだが、自主性が養われたことも勝利への後押しになっている。福井工大福井高校ゴルフ部の福岡康文監督は、親元を離れて寮生活をすることで人間的に成長する子は多いと話す。松山もその一人で、何のために福井にきたのかをしっかり自覚していた。
目的意識が高まると人は成長スピードを加速させる。前週に行われたトヨタジュニアゴルフワールドカップの個人戦で優勝を飾った松山には、今年の日本アマチュアゴルフ選手権は、自分が勝つには絶好機だと言う自覚があった。
プレーオフ2ホール目は得意のドライバーを手にした。
「左のラフだけは絶対に避けたかったため、右のバンカーでもいいと思っていました」。冷静にゲームメイクした結果、山下がボギーとしたのに対して松山はきっちり2オン2パットのパーで見事勝利を手にした。
「今はホッとしています。プレーオフが始まる前から緊張していたので、それで勝つことができて嬉しいです。(最年少記録のことも)わかっていたので、金谷さんが勝ったのと同じコースで記録を更新できたことは本当に嬉しいです」。
優勝を決めたパーパットは残り1.5メートルほど。緊張する場面でもしっかり打てたのは、松山自身が「このままプレーオフが繰り返し続いても自分ならいける」と思えていたことにある。勝てば終われるプレーオフだが、終わらせようとするのではなく、続ける気持ちが勝利を呼び込んだと言える。
規格外の飛距離を武器に、技術も気持ちも成長著しい松山の今後の活躍から目が離せない。
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