土居さんがゴルフに出会ったのは、大学の選択授業でのこと。「体育短期大で、1日中とにかくスポーツばかり。ゴルフを選んだ特別な理由はありませんが、当時ゴルフは女性の中でもトレンドだったからだと思います」。
その後、ゴルフの虜になり「ゴルフメーカーに入社すれば自分のゴルフも上手くなるのでは」と思いブリヂストンスポーツに入社。ゴルフクラブ企画部に配属された。ここは、販売や物流の企画、ブランドのコンセプトワークなどを考える部署。当然苦労もあったが、「うちの会社は、やる気のある女性社員にはチャンスをくれる」、と土居さんは笑うが「エネルギーは男性社員の2倍はいりましたね。つらいこともありましたけど、逆にそれをバネにしてきました」と言う。
現在の所属は、企画に基づいて実際にクラブを開発する部署。企画部時代に考えたクラブをそのまま開発グループに持ち込んだ。そしてそれが採用され、造られ、販売されるようになる。土居さんは、「一番嬉しいのは、やっぱり自分の企画が通って商品になったときですね。やったな、って思います」と言う。そのモデルは、女性用のブランドクラブ。抗菌グリップを採用するという新しい視点もあった。
女性用のクラブは、男性モデルよりシェアは少ない。しかも、男性モデルの付随品として販売されるケースがほとんどだ。しかし土居さんが考えたクラブは、女性専門のブランドクラブとして世に出たのである。
「女性のためになるクラブを開発したい。ティインググラウンドにはレディスティがあって、きちんと距離のハンディが与えられますよね。でも、2打目からは男性と同じ状況でプレーしなければならない。体格や体力など、女性は男性に比べどうしてもパワーが劣ります。それをいかにクラブで補っていくか、データの解析や研究をもっと続けて、男性モデルとは全く別のコンセプトのクラブを出していきたいですね」とは土居さん。
この仕事について良かったですかと尋ねると、土居さんからは「ハイ」という返事が即座に返ってきた。女性の悩みは女性が一番知っている。その悩みを解消できるクラブをつくれるのも、女性なのだ。 |