2003 JULY vol.73
シニアゴルファーに寄せられる期待
 ジュニアゴルファーや女性ゴルファーへのゴルフ振興策が年々盛んになると同時に、最近ではシニアゴルファーの「リタイア抑制策」も本格的になってきた。
 例えば、当協会を核とした「日本ジュニアゴルファー育成協議会」で計画している「ゴルフライフコンダクター制度」。この制度はジュニアにゴルフの楽しさを教えたり、ジュニアがゴルフをするうえでの安全を管理してくれる人材を養成するための制度である。現在のところ日本ジュニアゴルファー育成協議会の構成団体や日本シニア・ゴルファース協会からの推薦者を対象とする予定だが、おそらく一般のシニアゴルファーの協力なくしてこの制度は完成しないだろう。この「ゴルフライフコンダクター制度」の実施により、定年退職後ゴルフ離れの傾向にあるシニアゴルファーがゴルフに帰ってきたり、子供にゴルフを教えることで、個々の家庭でゴルフが活発になるなど、ゴルフ界の活性化につながることが期待される。
 (財)日本ゴルフ協会
 (社)日本プロゴルフ協会
 (社)日本女子プロゴルフ協会
 (社)日本ゴルフトーナメント振興協会
 (社)日本ゴルフ用品協会
 (社)全日本ゴルフ練習場連盟
 (社)日本パブリックゴルフ場事業協会
 (社)日本ゴルフ場事業協会
 全国高等学校ゴルフ連盟
 日本ゴルフツアー機構

 また、シニアゴルファーの「リタイア抑制」という意味では、用品メーカーの努力も見逃せない。住友ゴム工業(株)広報部はこう語る。
 「50〜60歳は団塊の世代として人口も多く、ゴルフマーケットのコアとして捉えています。60歳以上の方は金銭・時間ともに余裕のある方が比較的多いので、50歳代に次ぐ重要なマーケットと考えます。メーカーとしては年齢を重ねるとともに低下する飛距離を補うクラブを提供することで、できるだけ長くゴルフを続けて頂きたいと願っております」。

 住友ゴム工業(株)をはじめ、各メーカーはシニア層を含めた「中・低ヘッドスピード」のゴルファーをターゲットとした製品やブランドをラインナップしている。開発の主なキーワードは高反発と軽量化だ。あるいはシャフトフレックスを、「R」よりもさらに柔らかい「R2」設定として販売するケースも見られる。用具の進化はゴルファーに飛距離の向上をもたらしただけではなく、ゴルファーの寿命そのものを延ばしてくれたといっても過言ではない。

 もちろん、最近ではゴルフ場のシニアサービスも盛んになってきた。今では多くのゴルフ場で「シニアデー」等が設けられ、60歳や65歳以上のゴルファーは割引でプレーできる機会が増えてきた。そればかりか、近頃はシニアを無料で入場させるトーナメントも増えてきた。シニアゴルファーにとっても、プロの技を間近で見られることはゴルフの魅力を再認識するいい機会となるはずだ。さらに、最近のトーナメント会場では「ちびっこ広場」を設けたり、女性限定のプレゼントを用意したり、ジュニアや女性でも楽しめるサービスが増えてきた。つまり、家族や夫婦でトーナメントを楽しめる環境が整いつつあるということ。トーナメントをひとつのきっかけとして、家族や夫婦でゴルフを楽しむようになる可能性は十分考えられる。

 そして今年4月1日から開始されたゴルフ場利用税の一部非課税も、ジュニアゴルファーやシニアゴルファーが快適なゴルフライフを送るうえで追い風となるに違いない。一部非課税の詳細については20ページで触れるが、主に非課税の対象となるのは18歳未満、年齢70歳以上、障害者の方。ゴルフ場が実施するシニアデーの割引と併用すれば、シニアゴルファーはよりリーズナブルにゴルフを楽しめるだろう。
 ここまで紹介してきたように、ゴルフ界にとってシニアゴルファーの力は必要不可欠なもの。ゴルフ界は総力をあげて、より快適にゴルフを楽しめる環境を作ることを心がけている。
 ゴルフは本来、老若男女が誰でも参加でき、自然と触れ合い、心を豊かにできる数少ないスポーツである。親子3世代で楽しめるスポーツとしてゴルフほど適しているものはないだろう。そして、50歳〜60歳の「団塊の世代」には他の世代と比べてゴルフの魅力を理解している方々が多くいるはずだ。シニアゴルファーの方々には、自身のゴルフライフを楽しんで頂くと同時に、ぜひ一人でも多くのジュニアや女性にゴルフの魅力を伝えて頂きたい。ひいては、家族みんながゴルフと深く関わり合うようになって頂きたい、というのがゴルフ界の願いでもある。


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