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2003 JULY vol.73 |
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これらの現状を打開するためのポイントは、世代別にゴルフ振興策を考えること。「全体のゴルファーを増やすには?」、「全体の活動率を高めるには?」と考えていても解決の糸口は見えない。世代別にゴルファーを分析することで、焦点の絞られた振興策が導かれてくる。
そこでキーワードとなるのが「加齢増加率」(※注1)だ。例えばゴルフの場合、10代でゴルフを経験した人数の数倍もの人が、20代で新たに加わってくる。さらに30代では20代よりも多くの人数がゴルフに新規参加する。この10代、20代、30代と年齢と共に増減する参加率が「加齢増加率」である。 |
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昨今、日本のゴルフ界でジュニアゴルファーの育成が叫ばれている背景にも、この加齢増加率が大きく関係している。ゴルファーの加齢増加率は10代から20代で900%、20代から30代で243%と爆発的に増加(ゴルフに新規参加)する(図2参照)。つまり、ジュニアの裾野を拡大することは20代、30代のゴルファーを効率的に増加させる効果的な対策なのだ。
また、加齢増加率を見ると50代から60代でゴルファーの参加率は48%と大量にゴルファーを失っている。このリタイア率を抑制することは、今後のゴルフ振興という観点からも非常に重要だ。特に現在の50代は団塊の世代でゴルフの魅力を良く理解している人が多い。今後のゴルフ産業の鍵をにぎる世代といっても過言ではない。あるいは、今後はますますシニア世代の構成比が高くなることが予想されるだけに、シニアゴルファーのプレー回数を減らさない対策が必要となる。 |
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1996年 |
1997年 |
1998年 |
1999年 |
2000年 |
平均 |
加齢増加率 |
10代 |
1.8 |
0.9 |
1.1 |
0.9 |
1.4 |
1.2 |
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20代 |
14.8 |
11.7 |
12.6 |
7.5 |
8.3 |
11.0 |
900.0% |
30代 |
28.1 |
29.5 |
24.0 |
27.5 |
24.3 |
26.7 |
243.0% |
40代 |
32.5 |
32.7 |
22.2 |
25.6 |
28.9 |
28.4 |
106.4% |
50代 |
26.5 |
33.5 |
3.1 |
30.6 |
32.4 |
30.8 |
108.5% |
60代以上 |
14.9 |
12.0 |
14.3 |
16.4 |
17.0 |
14.9 |
48.4% |
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(財)自由デザイン協会:レジャー白書 |
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さらに、女性の参加率もまだまだ開拓の余地が残されている。ジュニア育成にも、シニアリタイア抑制にも、「職場を中心としたゴルフ」に替わる仕組みが必要不可欠だ。その実現は女性ゴルファーの増加なしにはありえないだろう。もちろん、基本的なこととして、自然保護や環境融和に矛盾しないゴルフの環境を整えることも大切。今後のゴルフ振興にとって欠かせないのはゴルフのイメージ刷新対策やジュニア、シニア、女性など、性別や年代を考慮した振興策である。
ジュニアや女性に対するアプローチは、数年前から随分盛んになってきた。ジュニアゴルファーに対しては「日本ジュニアゴルファー育成協議会」が中心となって様々なプログラムを検討している他、各地でジュニアレッスン会が開催されるようになった。また、ジュニアがゴルフを覚えるためのツールとして注目を集めている「スナッグゴルフ」も急速に広がっている。さらに、女性ゴルファーに対しては個々のゴルフ場が料金割引をはじめとするサービスを提供しているし、女子ハンディキャップシステムを取り入れるゴルフ場も増えてきた。ジュニアや女性、シニアがゴルフを楽しむための環境は、今後ますます充実していくことだろう。
そして今、「今後のゴルフ産業の鍵を握る世代」と呼ばれているシニア世代に、ゴルフ界の熱い眼差しが注がれている。 |
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スポーツへの参加人口は年齢とともに変化する。個人をとりまく社会環境が、そのスポーツに参加できる状態になって初めて「やってみたいスポーツ(潜在需要)」から実需要に変化する。これまでの実績を見るとゴルフの場合、10代で参加した人数の9倍が20代で新たに加わり、30代でさらに2.4倍の人数が加わることが分かった。この10代、20代、30代と年齢とともに増減する参加率を「加齢増加率」と呼ぶ。
加齢増加率は経済・社会情勢とともにゆっくり変化するが、短期的には安定していると考えられる。ゴルフの場合30代以降のコア層対策を検討するとき、その実施対象世代や対策時期は加齢増加率を熟慮して結論すべき重要な概念となる。 |
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