ゴルフ産業の低迷は深刻だ。ゴルフ市場規模(コース、用品および練習場市場規模の合計)ひとつをとって見ても、1992年の2兆8860億円をピークとして、2001年には2兆460億円と、ピーク時の7割の規模まで落ち込んだ。
この状況を「不景気だからしょうがない」と簡単に割り切ることはできない。なぜなら同時期の経済関連指数を見ると、国民総生産は約10%、雇用者所得は約8%、民間消費支出は11.5%とそれぞれ増加しているからだ。つまり、ゴルフ産業が低迷している理由は、不景気だけが原因ではなく、ゴルフ産業固有の問題によるものだということが言えるのである。例えばゴルフ場の売上高。今からおよそ10年前の1994年当時は2兆円近くあったが、2002年は1兆4000億円を下回っている。確かに景気の後退も理由のひとつとして考えられるが、法人接待ゴルフの激減というゴルフ界固有の問題が大きく関係している。これからのゴルフ界には、ゴルフ産業特有の構造的な問題と経済の停滞という、二つのマイナス要因への迅速かつ適切な対応が迫られている。
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進むべき道を明確にした
「ゴルフ市場活性化行動計画検討会」の記者発表 |
そこで作成されたのが「ゴルフ市場活性化行動計画検討会報告書」だ。この報告書は2003年に経済産業省の委託調査に基づき、ゴルフ関連団体や有識者の意見を踏まえて作られたもの。ゴルフ界活性化に向けて必要と考えられる指針が記された、いわば「ゴルフ界構造改革のバイブル」である。ここからはこの報告書の内容に沿って、ゴルフ界活性化に向けた方策をいくつか紹介していきたい。 |