|
|
|
2004 MAY vol.75 |
|
|
|
■地域社会のニーズを捉えることが活性化のカギ |
|
|
ジュニア育成は長期的な課題として
今後も長く継続していかなくてはならない |
もちろん、それらの考えを踏まえたうえで、ゴルフ市場活性化行動計画検討会ではシニアゴルファーや既存ゴルファー、女性ゴルファーに対するプログラムの具体例が検討されている。例えばシニア層対策プログラムの具体例として、健康意識の高いシニア層のニーズに応え、ゴルフ場や練習場において健康管理サービスを提供したり、医療機関と連携した健康診断・健d康増進プログラムを提供することが一案として盛り込まれている。あるいは、ゴルフと健康増進との相関関係を科学的に検証してその結果をPRし、シニア層のゴルフ継続と参加を促進することも新しいアプローチ手法として検討されている。
また、シニア、ミドル、女性、ジュニアの各層別対策を実施するのではなく、三世代が一緒に楽しむことができるゴルフならではの特性を活用し、「世代間ブリッジ型イベント」を企画してみるのもひとつの方法だろう。例えば「シニア&ジュニア」での来場者に対する割引特典の付与、「一家三世代」から成るチームによる競技会の開催等を検討してみるのも一策だ。既にシニア向けのトーナメント、ゴルフ場利用料金割引制度等が一部で導入されているが、関係団体が連携することにより、より魅力的なイベントを実現できるに違いない。
さらに、ミドル層や女性層への対策プログラムの具体例として「ゴルファー登録制度」が検討されている。これは登録したジュニアゴルファーに、練習場やゴルフ場における利用料金の割引等の特典を与える「ジュニアゴルファー登録制度」を参考にして、登録したミドル層・女性層ゴルファーに対して参加各ゴルフ団体が協力して各種の特典を付与するというものだ。
また、一定の基準を満たしたゴルフ練習場を「ゴルファーズセンター」として認定する制度も考えられている。認定を受けたゴルファーズセンターは、来場者に対して総合的なゴルフアドバイスや、ゴルフ文化の伝搬やマナー講座の開講などのきめ細かな指導を実施。つまり、ゴルフ練習場を単に練習する場として捉えるのではなく「クラブライフ」を楽しめるような環境に変えていこうという考えだ。
|
シニアや女性もスポーツとしてゴルフを楽しめる時代。この機会にどんどんラウンドしていただきたい |
前出の山田教授は、ゴルフ界活性化の一案を報告書の中でこう述べている。
「ゴルフ場をもっと地域に開放し、ゴルフ場の立地する地域の需要を開拓すべきでしょう。つまりはゴルフ場の敷居をもっと低くすること。地域の大学・高校のジュニアにラウンドの機会を与えたり、地域のシニアゴルファーやレディスゴルファーにゴルフの楽しさを体験してもらうようにすべきではないでしょうか。もっともこの考えは、預託会員制のゴルフ場のメンバーには理解してもらえないかもしれません。しかし、全てのゴルフ場は無理として、少しずつでもメンバーの理解を得て進めたい課題です。そしてこれまでの預託会員制のゴルフ場、法人需要に貫かれたゴルフ場の運営といったひとつのコンセプトに対して、個人需要、地域需要というもうひとつのゴルフのコンセプトを、業界をあげてつくっていって欲しいものです」。
幸いにして現在は10数年前と比較して、様々なタイプのゴルフ場が生まれてきている。リーズナブルな料金でプレーできるカジュアルタイプのゴルフ場もあれば、充実したクラブライフを提供する伝統的なゴルフ場もある。どちらもゴルフを楽しむうえで必要な環境だ。ゴルファーの選択の幅が増えることは、プレー機会の増加にも繋がるに違いない。つまり、ゴルフは以前よりもずっと身近な存在になり、スポーツとして楽しめる機会が増えたということだ。
現在の先行き不透明な状態をすぐに改善するような特効薬はないが、大切なのは一人でも多くのゴルファーが、一回でも多くのラウンドを楽しむこと。ゴルフの魅力を十分に知るシニアゴルファーや団塊世代の方々は、今こそゴルフを楽しもう。そして、まだゴルフの魅力を知らない女性や子供たちにゴルフの魅力をぜひ伝えて頂きたい。世代や性別に関係なく楽しめるゴルフならば、それができるはずである。 |
|
【参考資料・ゴルフ関連時系列データ】 |
|
(ゴルフ場) |
|
|
1993 |
1994 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
参加率(%) |
13.8 |
13.8 |
13.4 |
13.0 |
12.5 |
11.8 |
11.3 |
11.9 |
12.3 |
9.5 |
参加人口(万人) |
1440 |
1450 |
1420 |
1380 |
1340 |
1270 |
1220 |
1290 |
1340 |
1040 |
年間平均活動回数(回/年) |
11.4 |
9.9 |
11.4 |
11.4 |
9.9 |
10.7 |
12.5 |
11.7 |
12.1 |
11.9 |
年間平均費用(千円) |
184.6 |
184.9 |
192.4 |
183.7 |
189.5 |
155.0 |
193.6 |
179.0 |
165.2 |
168.5 |
参加希望率(%) |
21.0 |
21.5 |
19.7 |
17.9 |
18.2 |
16.3 |
15.8 |
17.3 |
17.1 |
15.5 |
潜在需要(参加希望率-参加率) |
8.1 |
8.4 |
6.6 |
5.5 |
6.0 |
5.3 |
5.1 |
5.4 |
4.8 |
6.0 |
ゴルフ場数(NGK調べ) |
2127 |
2200 |
2273 |
2340 |
2370 |
2404 |
2421 |
2443 |
2452 |
2443 |
ゴルフ場の売上高(億円) |
18430 |
18060 |
17880 |
17630 |
17580 |
16840 |
16320 |
15010 |
14000 |
13270 |
|
|
(ゴルフ練習場) |
|
|
1993 |
1994 |
1995 |
1996 |
1997 |
1998 |
1999 |
2000 |
2001 |
2002 |
参加率(%) |
19.4 |
16.1 |
15.1 |
14.7 |
13.5 |
13.0 |
12.2 |
12.8 |
12.3 |
10.6 |
年間平均活動回数
(回/年) |
16.8 |
18.3 |
19.8 |
17.2 |
17.9 |
17.8 |
18.0 |
20.4 |
16.1 |
18.8 |
ゴルフ練習場数
(ケージーアール出版調べ) |
5399 |
5359 |
5309 |
5223 |
5131 |
5037 |
4918 |
4785 |
4611 |
4491 |
売上高(億円) |
3140 |
2840 |
2580 |
2500 |
2500 |
2360 |
2170 |
2000 |
1840 |
1710 |
|
|
1710出典:「余暇需要及び産業動向に関する基礎調査研究」:(財)自由時間デザイン協会 |
|
|