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Thomas M.L.Lee(トーマス・リー)
1938年1月生まれ。マレーシア国内では法律事務所を経営。1989年からマレーシアゴルフ協会会長を務める。また、1999年よりアジア太平洋ゴルフ連盟常任理事など要職を歴任。その他、2000年に開催されたシドニーオリンピックなど国際スポーツ競技でその手腕を奮っている。 |
—— ノムラカップの大会の歴史を教えてください。
トーマス・リー氏(以下 リー) 1962年に世界アマチュアゴルフチーム選手権が日本の川奈GCで開催された時、日本、フィリピン、台湾が集まり、「アジアのゴルフ発展のために大会を開催しよう」と話し合ったのが創設のきっかけです。そして翌年、当時JGA副会長だった※野村駿吉氏がトロフィーを寄贈し、その3チームが参加して、第一回大会を開催しました。
—— 現在、APGCに加盟する国と地域は26。今回は16の国と地域がノムラカップに参加しました。40年あまりの間に、大きく発展したのですね。
リー 回を重ねるごとに、たくさんの国と地域が参加するようになりました。オーストラリアとニュージーランドが加盟してからは、大会名を「アジア・パシフィック〜」と変えたんです。現在は、中東の国々も参加していますしね。それに今後は、太平洋の島国、例えば、フィジーやサモアも大会に参加する予定です。私自身、ノムラカップには1977年から携わっていますが、加盟する国と地域が増えることは、非常にうれしいです。
—— アジア太平洋地域のゴルフ界の中で、ノムラカップはどんな役割を果たしているのでしょうか。
リー ノムラカップは2年に1度開催していますが、定期的に多くの国と地域が集まることによって、交流が深まり、お互いを理解し合えます。つまり、国際親善に役立っていると考えています。
今回のノムラカップに関して言えば、各チームの代表選手のほとんどが、日本に来たのが初めてだったようです。大会に参加することはもちろんですが、多くの国と地域のゴルファーと接したことは、彼らにとって、とても大切な経験になることだと思います。
—— アジア太平洋地域のゴルフ界をさらに発展させるには何が必要だとお考えですか。
リー すべてのプロゴルファーはプロになる前、アマチュアでしたよね。つまり、アマチュアがいない限り、強いプロは育たないということなんです。では、強い選手を育てるためにはどうすればいいのか。それには、アジア太平洋地域のジュニアゴルフを今以上に発展させなくてはなりません。ジュニア育成は、強いプロゴルファーを作るため、ひいてはゴルフ界を発展させるために欠かせないことなのです。そういう意味でも、多くの国と地域の有能なアマチュアが集まるノムラカップは、非常に意義深い大会なのだと思っています。
—— 最後にお聞きします。トーマス・リーさんにとって、ゴルフの魅力はどんなところにありますか?
リー 本当に素晴らしいゲームだと思っています。コースに出るととても美しい自然があります。その中で自分自身にチャレンジできるスポーツです。そして、年齢も性別も違うさまざまな人達とプレーを楽しめるという魅力もあります。他にも、世界にはひとつとして同じコースはありませんから、コースを楽しむという側面もあります。
また、ゴルフは審判のいないスポーツですから、人間形成の上でも、とてもよいゲームですね。私の国(マレーシア)では現在、サッカーが一番人気がありますが、将来的にはサッカー人口よりも増えていくのではないでしょうか。こんなにたくさんの魅力があるスポーツなのですから、もっともっとアジア太平洋地域の多くの国と地域の方にゴルフを楽しんでもらいたいと思っています。
※野村駿吉(1989.9.4〜1963.5.13)
昭和2年に日本アマ優勝、戦後は同期の石井光次郎とともに、国際交流や日本のゴルフ発展に寄与。元JGA副会長。特に「世界アマ」「アジアアマ」の創設に力を尽し、アジアアマの優勝杯は「シュン・ノムラ・カップ」の名でその功績を唱われている。 |