前日までの予選を通過した32人によってマッチプレーの1、2回戦を行った。コースは気温30度を超える猛暑に見舞われ、社会人勢が次々と姿を消す間、若さを誇る中学、学生勢の活躍が目立った。結局、第4日の準々決勝には10歳代、20歳代の若いプレーヤー7人と、唯一のベテラン大倉清(大博多)ら8人が勝ち残った。
前日、予選通過の32人の座をめぐって24位タイとなった12人がプレーオフ(9人がパス)を演じたが、9人の枠に辛うじて滑り込んだ大倉清(大博多)は、1回戦でメダリストの山本隆允を3and2で一蹴した。引き続き行われた2回戦では、社会人の強豪、井関剛義(交野)との対戦は強烈な競り合いになり、エキ
ストラホールにもつれ込む激戦になった。井関は現在、ナショナルチームのメンバーである。大倉もかつてはナショナルチームの一員だった。家業は博多織で有名で、仕事も多忙を極めるなど家庭の事情で一時、ゴルフから遠ざかっていたが、九州の先輩、尾家清孝(1989年の日本アマチャンピオン)がベテランに域に達してもゴルフ界のために奮闘しているのに刺激され、競技ゴルフを再開。日本アマには5年ぶりの出場となった。今回は幸運にもプレーオフで予選を通過し、その余勢で準々決勝に駒を進めたのである。『予選から〝しびれ放し〟です。辛くも通過したのだから、ここまでこられたのは、おまけですよ。だが、マッチプレーだけはなんとしても勝ちたかった。井関君との試合は一瞬たりとも気は抜けなかった。あの人は本当にうまいゴルフをするから、アップしていても勝てるとは思われなかった』ベテランは死闘を制し、勝ち残った8人の中での最年長。4日目は20歳の学生、額賀辰徳(ロイヤルスター・中央学院大3年)を相手にどんなゴルフを展開するか。とかく学生、高校生、中学生といった若いゴルファーが幅を利かせる日本アマ競技に、たった一人の中年ゴルファーによる挑戦が、けだし見ものだ。『学生のゴルフは飛ばすだけで、底が浅い』と批判的な大倉が、若い世代に向かってどんな『渇!』を与えるか。
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