真っ先にベスト8入りを決めたのはメダリストの森本を6-4で破った伊藤涼太(中日)。「この試合でショットはいちばん良かったし、みんなが苦しむグリーンの芝芽を気にしない強めのパットも良かった。ジャストタッチで打つと芝芽に負けるけど、曲がる前にカップインするよう意識して強く打ってます」と余裕の勝利だった。と同時に巧妙な作戦もあったようだ。それは自分のボールまで早足で歩き、プレーを速くして相手にプレッシャーをかける戦法。もともとプレーの速い伊藤がさらにスピードアップしたので、森本はペースを崩されたらしい。「たぶん14ホールを2時間でラウンドしたはず」と伊藤は会心の勝利に満足げだった。「日本オープンに出
られる。目標のベスト8をクリアしたから、明日からはネジを巻き直してイチからやるつもりです」と気持ちを切り替えていた。その伊藤涼太を大の苦手にしているのが額賀。3年前の日本アマは両者予選落ちだったが、一昨年が1回戦1ダウンで敗退、昨年は準決勝で一度もアップすることなく4-3で完敗だった。「なにしろ年齢差があるのでやりにくい。それに彼はプレーが速いのでペースがつかめない」と“天敵”といわれることを認めている。しかも、2回戦で鮫井伸和(能登)に勝つと額賀はその天敵と対戦することになるのだ。このマッチは実際、額賀が16番の3パットで1ダウンを喫したが、17番をOKバーディで獲り、18番相手の3パットで1アップ勝利したので、宿命の準々決勝を迎えることになった。「もうそろそろ、伊藤君の実力を認め、7歳の年齢差を考えないでプレーするつもりです」と苦手意識を払拭したいようだ。マッチプレーに残り、組み合わせが決まった時点で、顔を合わせた二人は対決を約束していた。三度目の対決で、ナショナルチーム選手同志のどちらが勝ち上がるかは、プレーのスピードがカギを握っているのかも知れない。
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