気温25.3度、南南西の風4メートルという秋晴の好コンディションに恵まれた第1ラウンド、人気を集めたペアリングは11時27分にアウト1番ホールからスタートした青木功、尾崎将司、中嶋常幸だった。日本ゴルフ協会も「粋なはからいをするものだ」と豪華な顔ぶれにギャラリーは大喜び。1番ティーインググラウンドに上がった3人を拍手で迎え、「アオキ、頑張れ!」と声もかかった。
青木、尾崎は特別推薦枠の出場で、中嶋を含めてシニア・プロ3人衆の揃い踏みなのだから、ティーグラウンドからグリーンまでぐるりとギャラリーが取り囲むという大観衆を集めたのも無理はない。日本オープン、日本プロ、日本プロマッチプレーのいわ
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ゆる”日本モノ”メジャータイトルを合わせると3人で33勝になるのだ。それぞれの黄金時代のショットの切れ味を誰しもが期待して、3人ついて歩いたのだろう。
しかし、「こんな素晴らしい名コースで日本オープンを戦えるのは嬉しい」と廣野ゴルフ倶楽部の大橋一元キャプテンに挨拶した中嶋が第1打を左林に引っ掛けるまさかのOBスタートになるとは誰が予想しただろう。青木、尾崎がパーで発進したこのホールを、中島は5オン2パットのトリプルボギー。なんとも明暗を分ける船出となってしまった。
その後、中嶋はショットを曲げまくり、2番ボギー、3番ダブルボギーと雪だるま式にオーバーパーを重ね、アウトは8オーバーパーの43。
尾崎は2番をボギー、5番で長い15メートルの下りのバーディーパットを決めてイーブンパーで迎えた9番パー5を2オンのイーグルで仕留め、2アンダーパーの33。青木は1バーディー(8番パー4、フェアウェイ右ラフからピン左5mにつけたものだが、これがラウンド後、思わぬハプニングを生む元になる)1ボギー(3番ホール)のイーブンパーで前半を終了する。
インに入っても中島の乱調ショットは続き、ドライバーが曲がってラフ、そこから距離感を間違えてグリーンを外すシーンが…。パーオンしたホールでは3パットという具合に、すべての歯車が噛みあわない。結局、インは1バーディー(13 番パー3)、4ボギー(14、16、17、18 番)の39でトータル82という大誤算なスコアに終わった。
一方、青木と尾崎の二人は深いラフ、速いグリーンにスコアを伸ばせない。百戦錬磨のキャリアを感じさせるショットを随所に見せるものの、スコアは伸びない。青木は1バーディー(10 番ホール)2ボギー(13 、15 番)の1オーバーパーで迎えた18 番、グリーン左のラフから寄せた3mをまさかの3パットして、ダブルボギーのフィニッシュ。これが尾を引いたのか、スコアのアテストミスが発覚してしまう。8番のバーディー「3」をマーカーだった尾崎が「4」と記入したカードに青木がサインをして提出。本来は3オーバーパーの74が4オーバーパーの75となってしまったのだ。日米のツアーで百戦錬磨のキャリアを誇り、世界ゴルフ殿堂入りを果たした男にしては珍しいミスであった。
尾崎にも大詰めでトラブルが見舞う。1バーディー(16 番)1ボギー(12番)で迎えた18番で、ティーショットをハロー(窪地)のラフへ突っ込み、第2打が木に当たって林の中。出すだけの3打がグリーン手前50ヤードのまたもラフ。4オンした5メートルが無情にも入らずダブルボギーを叩いてしまう。AとOの2人が揃ってダブルボギーのフィニッシュに、ギャラリーも空いた口がふさがらない様子だった。
青木75、尾崎71、中島80のスコアは日本の名門「廣野ゴルフ倶楽部」が日本一のタイトルを争う舞台としてふさわしいコースセッティングをすれば往年の名手でも手こずるという証明をした結果かもしれない。
しかし、同じペアリングで第2ラウンドを、午前の早いスタートになる3人がこのまま終わるとは、フアンの誰一人として思っていないに違いない。
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