230ヤードを越える長い17番ホール(パー3)が優勝の行方を左右しそうだ。
藤田寛之が4アンダーパーの首位で17番を迎えながらティーショットを右にこぼしたのが始まりだ。ボールは堅い粘土質のベアグラウンドに止まった。藤田はボールを上げることができず、9番アイアンでグリーンに転がし上げようと試みた。しかし、ボールはラフにくわれてそのまま深い草の中。続くアプローチは4メートルシもョート。パットを1メートル近くオーバーすると返しも外した。3オン3パットの6。4アンダーパーがアッという間に1アンダーパー。優勝戦線は混沌となった。
「アプローチのテクニックなど自信はある方だが、どうやって乗せよう
かと正直、迷った。サンドウェッジでオーバー目にいくことも考えたが、ころがしを選んで失敗した」藤田はがっかりだ。しかし、うちひしがれていなかった。「最終ラウンドじゃなかったことをラッキーと思いたい」気持ちを切り替えていた。
同じホール。川岸は9メートルにナイスオン。しかし、第1パットは1.5メートルオーバー。返しも入らず3パットした。前日、快調だったパットはこの日、すっかり蔭をひそめていた。1、4、8番と3パットが続いた。8番などは5アイアンで50センチのバーディーチャンスにつけながら 1.5メートルもオーバーしての3パットだった。
「9番(パー5)で 2オンして3パットもある。17番も入れると5回か」とため息をついた。それでも首位を守ったことに気がつくと「そのわりには、よくやっているじゃないですか」自分にいいきかせるように笑った。
ボールが飛ぶ時代。38年ぶりに廣野で開かれた日本オープンだが、伝説の難ホールは生きているということだろう。雨が降ってさらに難しさを増したこの日、ドラマを早くも演出しはじめた。「ティーショットがクリークやスプーンになる。パーで良いというホールでしょうね」伊沢もこのホールに警戒感を隠さなかった。「今回、ぼくは相当我慢している。最終ラウンド?大詰めのキーホールでさらに我慢することになるでしょう」
優勝スコアについて聞くと伊沢は「6アンダーパー」、川岸は「4アンダーパー」、藤田は予測を避けた。誰の頭にも難ホールがひっかかっているのだろう。目標スコアはマチマチになった。
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