ローアマチュアを獲得したウォン・ジョン・リーは特別承認枠の出場で、試合前からその怪物ぶりは鳴り響いていた。なにしろ、9月に成田ゴルフ倶楽部で行われた第22回ノムラカップで19アンダーパーの個人優勝。韓国生まれのオーストラリアナショナルチームの大砲として有名だったからだ。
最終ラウンドを迎えた時点で、ローアマチュアの至近距離にいたのは1オーバーパー(8位)にいた岩井亮磨。1打差にウォン、3打差に今年の日本アマを制した金庚泰と伊藤勇気、額賀辰徳という混戦模様の展開だった。日本のフアンとしてはナショナルチームの二人がいかに外国勢を追いかけるかが焦点だったのだが、前評判通りにウォンが2オーバーパー7
3にスコアをまとめ、プロをまじえた成績でも11位タイに入る健闘を見せてローアマチュアに輝いたのだ。
「15位以内の成績を目標に、ローアマチュアを目指す」と断言してスタートした額賀が伊藤勇気とともに後半で脱落。1打のリードがあった岩井も苦戦を強いられ、終わってみれば2打差を許すセカンドアマに終わった。
ウォンの圧巻シーンは2打差をつけて迎えた最終18 番ホール。ティーショットを左に曲げ、あと2メートルでOBというフェアウェー左の林の中。しかも深いラフ。
「前方に松林の木がスタイミーになり、木の右へ打ち出してグリーン前にレイアップするか、または90センチの樹間を低い球筋で抜いてグリーンを狙うか、迷いました。4番アイアンで低いフックを打ったら、グリーン前のくぼ地を転がって乗ってくれました。自分でもびっくり!のナイスショットでした」と語ってくれた。
それにしても189センチ、94キロの体躯で、300ヤード級のドライブを駆使するウォンの可能性は無限だ。「世界のゴルフ界を振り返ってみても、ジャック・二クラス、フィル・ミケルソン、タイガー・ウッズのアマチュア時代を彷彿させるほどの大型プレーヤーです。今後の育ち方次第で、世界のトップクラスに登るプレーヤーで、まさに”怪物くん”でしょう」と川田太三氏はいう。
「日本では日光カンツリー、成田ゴルフ倶楽部、そして廣野ゴルフ倶楽部の3コースを試合でプレーしましたが、廣野はいちばん難しく、チャレンジングなコースだと思います」と開催コースを誉めることも忘れなかった。
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