昨年、大山ゴルフ倶楽部(鳥取県)で行われた大会は雷雨に翻弄されたものだが、今年の日本一アマ決定戦第1ラウンドは梅雨の晴れ間というべき快晴微風に恵まれた。
この日の注目選手は6月、イングランドはサンドイッチにあるロイヤルセントジョージスGCで行われた全英アマチュア選手権で活躍して、帰国したばかりの伊藤勇気(日大1年)。111回を数える伝統ある大会で、しかも英国初遠征ながら、予選を9位タイで通過した伊藤は4回戦まで進み、アダム・ジー(Adam Gee)に3エンド2で惜敗したものの、ベスト16の好成績だっただけに胸を張っての日本アマ出場となった。英国の若手ホープと言われるジーを「ショットもパッ
トもスキのない選手で、良い勉強になりました。それと英国のリンクスを経験して風対策のショットも少し学びました」と収穫を語った。
伊藤にとって、日本アマのタイトルは喉から手が出るほど欲しいタイトル。 まして、過去2大会の戦績が04年1回戦敗退、05年がクォリファイラウンド150で、マッチプレー進出に2打足りなかった。それゆえ、「今年こその思いがあります」というだけあって、4アンダーパーの68をマーク。いきなりの好スコアを叩き出したのだ。そのプレー内容がアウトとインで対照的だった。
朝早い時間のアウト・スタートになった伊藤は1番のパー5でボギー発進だった。その後、パーを重ねるが9番のパー5でもボギーで2オーバーパーの38。しかし、このまま終わらないのが一皮剥けた伊藤だった。
インに入って最初の10番、セカンドをPS(ウェッジ)で50センチに寄せるバーディーが良い薬になったようだ。「あれで波に乗れました」というように12番から3ホール連続のバーディー。15番ボギー、17番バーディーで迎えた18番パー5が圧巻だった。ドライバーをフェアウェーに運ぶと、セカンドの残り220ヤード。3番アイアンで放ったボールがフォローの風に乗ってピン・ハイ右6メートルに2オン。「ワンカップ右を狙ったフックラインが上手く入ってくれました」
これで、イン9ホールが6アンダーパーの30。トータル68の4アンダーパーはこの日の単独2位の好発進。
試合開始の1週間前に帰国し、2日間の練習ラウンドだけで迎えた本番だったにしては最高のスタートダッシュ。時差ボケはないのか?と尋ねてみると、「飛行機の中で十分眠れましたから」と答える。日大の1年生は“時差ボケ知らず”の若者なのだ。
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