“175cm、68kg”と大会直前に本人の書いたプロフィールにあるが、フェアウェーを歩く姿はもっと大きく見えた。東京江戸川区出身なので、通学に利便な日大に入学をしてから、筋力アップのトレーニングを取り入れたので、体が一回り大きくなり、ガッシリしたのだろう。「高校時代には飛距離の出るゴルフではなかったので、筋トレを始めました。最近では20~30ヤードは距離が延びています」と男らしくも凛々しくなった笑顔で言う。
クオリファイラウンドの2日目、バックナインからスタートした伊藤勇気(日大1年)は2バーディー・1ボギーの35、トータル5アンダーパーで折り返すと、前日と同様に後半の9ホールでは“攻め
るゴルフ”に出た。1番のパー5はスプーンで奥のエッジに運び、サンドウェッジで50cmに寄せるイージーバーディー。続く2番(402ヤード・パー4)は左ドッグレッグのコーナーにある林越えにドライバーを強振。残り50ヤードを2.5mにつけて捻じ込む。これで一気に7アンダーパー。しかし、快進撃もここまで。3番、名物パー3ホールで、逆風を意識して7番アイアンでパンチショット。全英アマ挑戦で覚えた低い球筋が強すぎて、グリーン奥のバンカーへ。バンカーがなければ池ポチャだったはず。結局、寄せワンのパーで収めたものの、ショットに不安を残して快進撃が止まり、最後までパー行進になったのだった。この結果、アウトは2アンダーパーの34、この日の3アンダーパー69。2日間トータル、7アンダーパーの137は2位の芳賀洋平(中央学院大3年)に1打差をつける、自身初のメダリストに。
「後半9ホールでドライバーを振り出したのは4個目のバーディーが欲しかったから。この日の目標を67に置いて、2日間トータル9~10アンダーパーにスコアを伸ばしたかったのです。結局、7アンダーパー止まりでしたが、“メダリストはマッチプレーで優勝出来ない”というジンクスに挑戦したい。マッチプレーは好きな方だし、自分の中でやれる自信もあります」と胸を張った。全英アマのベスト16に入った経験がどれほど自信になっているか、外側からは想像もできないが、がっしりと男臭くなった体躯以上に、勝利への野望が見えた。
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