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競技報告
【井関剛義と田村尚之の戦いは息詰まる熱戦の末に田村が勝利】
第3日 競技報告:西澤 忠 写真:Gary Kobayashi
マッチプレー初日の注目カードはともにナショナルチームのメンバーで、“中年同士の顔合わせ”の井関剛義(交野CC)と田村尚之(賀茂CC)のふたり。ミッドアマ2連勝の実績を持ち、昨年の日本アマではベスト4だった田村が42歳。昨年のミッドアマ初優勝の井関が35歳だからである。

ただし、そこへ至るには1回戦のヤングたちを退ける必要があった。百戦練磨のプレー巧者同士の熱闘を見たいと思うギャラリーの願望が天に通じたのか、ふたりとも1回戦を勝ち上がったのだ。

井関が昨年の大会準優勝の18歳、永野竜太郎(水城高)を6and5の大差で下し、田村は28歳の竹石要祐(筑波CC)をアウト9ホール終了時に5ア
ップしていたが、インにターンして苦戦、16番ホールまで引き摺って3and2での決着だった。朝のスタート前に「1回戦に勝てば次は井関君と当たるのはわかってますが、えてしてこういう時はふたりとも負けるもの。なにが起こっても不思議はない、それがマッチプレーですから。」と言っていた田村の予想が見る側には嬉しい方に外れたわけである。

さて、ふたりにとっては夢にまで見る念願のタイトル。しかも、ナショナルチームの合宿などで手の内を知り尽くした相手との戦い。ゲームがもつれにモツレたのも当然だろう。アウト9ホールを2アップで折り返した田村がインをスタートしたのは3:52。2ダウンのビハインドを井関が取り返したのは12番のバーディーと13番、田村のダブルボギーを打ったからだ。両者イーブンになったその後、3連続パー行進。それもどちらかがピンチの寄せワンを決めたからだが、見る側にとってはハラハラ・ドキドキの連続だった。

そんな膠着状態に波乱が起きたのは17番。オナーの井関がグリーン手前のバンカーにショートしたのを見た田村が3番アイアンを大ダフリのミスショット、池にボールを沈めたのだ。打ち直しの第3打はピンの12mに乗っただけ。「あの人はきっと入れて来る。パーを取るために砂を薄く取ってスピンをかけよう」とした井関のバンカーショットが思いがけないホームランに。グリーン奥のラフから“寄らず入らず”のダブルボギーを叩くのだから、ゴルフは怖い。田村にとっては命拾いの両者ダボ。

首の皮一枚で迎えた18番、田村に明晰な読みが蘇った。

ふたりとも第2打をレイアップして、井関が105ヤードのウェッジショットをピンの左4.5mに。それを見た田村は考えた。「あのラインは稜線を越える複雑なライン。なんとしてもピン奥につけたい」と放った98ヤードのショットが狙い通りにピンハイ右1mに。

田村の予測通りに井関がパットを外し、ウィニングパットを決めた瞬間、田村はパターを投げ出して天を仰いだ。一瞬見た地獄から生還して来た戦士のように井関の手を握った田村の目は涙でうるんだ。

「井関君にも私にも喉から手が出るほど欲しいタイトル。彼の気持ちを思って、泣けてしまいました」と言う田村。

クラブハウス前に引き上げて来た井関は「フーッ」と大きな溜息をついてから言った。

「握手した時、田村さんの目に涙があるのを知りました。マッチプレーのストラテジーをいろいろ教わった相手に負けたのは仕方ありません。でも、口惜しかった!」

ドラマチックなフィナーレを見た観戦した女性ギャラリーが誰に言うともなく呟いた。「ほんとに良いゲームを見せてもらって、ここへ来た甲斐がありました!」と。




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