“メダリストの優勝はない”というマッチプレーのジンクスに挑戦する伊藤勇気(日大)は大会3日目の1回戦、中川元成(富士三次CC)を相手に5and 4であっさりと決着をつけた。早朝7:30にスタートして、14番ホールで勝負がついたのは10:30、なんと3時間の戦いだった。
しかし、日大の先輩、宮本太郎(登別CC)との対戦になった2回戦に入ると様相が一変、これだから“マッチプレーは一寸先が闇”で、何が起こるか分からない。伊藤のパットが狂い出すと、宮本のパットは面白いように決まるのだ。アウトを終わって伊藤の1ダウン。インへ行っても宮本のパットは好調を維持、11、12番を取って一気に3ダウンへ。
「残り6ホールで3ダウンですから、このままズルズル行ったらマズイと思っていたら、宮本太郎先輩のショットがブレ始めたのです。お陰で15番、8mのロングパットが入ってくれました」(伊藤)これで、オールスクウェア。
16番は木の根元から3オンの伊藤、3パットの宮本と両者不本意なボギーで通過して、池越えの名物ホール17番パー3、伊藤の勝負強さがここで爆発した。「ここが勝負所!」と踏んだ伊藤の5番アイアンのショットがピン左50cmにピタリ!
「あのショットは僕の人生でもベスト5に入るファインショットでした。2ピン右からのドローボールは狙い通りの完璧さでしたから!」
このラウンド初の1アップを果たした伊藤にとって、ツーオン可能な18番パー5ホールはプレーしてもしなくても結果は同じだった。なにしろ、そこでは両者バーディーのフィニッシュだったからだ。まるで、絵に描いたような見事な逆転劇だった
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