三者三様にスタートダッシュに成功した中嶋、尾崎直道、室田の組には秋晴れの天気もあってか、大勢のギャラリーが歩いて応援した。
スリーサムのプレーヤー全員が好スコアをマークする例は少なく、“誰か一人が遅れをとる”という昔からのジンクスがある。それが的中したのは、尾崎直道だった。しかも、本人が「こんなゴルフをする自分を許せない!」というほど不本意なプレー内容だった。
インスタートの前半9ホール、13番から16番までの連続4バーディーを獲った時点までは良かったのだが、続く17番(197ヤード・パー3)のティショットを左バンカーに入れ、ボギーを叩いてから“流れ”が変わった。「米ツアーでも“良
い流れ”が突然に止まることがあった。8連続バーディーの後で、池に3回入れてしまったりして。年齢を重ねて、スウィングを変えるか、昔のまま本格派で行くか、正直悩んでいる。ちょっとした不安材料でミスを誘発してしまうのが、口惜しい」と正直な告白コメントがあった。結局、後半のアウトで3ボギー。1アンダーパー71で、通算6アンダーパーの4位タイだ。
明日は9アンダーパーまで伸ばした室田淳と最終組のひとつ前でのラウンド。「今日のことは忘れて、明日は爆発したい!」と決意を語った。
中嶋の躍進は目覚しいものだった。前半のインでは2バーディー・1ボギーだったものが、ハーフターンすると一気に爆発した。1番で8メートルを入れると、クリークが二回フェアウェーを横切る2番(548ヤード・パー5)でドライバー・スプーンとつなげてピンまで50ヤード地点に運び、1.5メートルに寄せるバーディー。「浅めのラフ、芝の状態が良いなどフェアなコースセッティングが“攻めなさい”と言ってくれている」とアグレッシブなプレーを気持ち良く展開出来たようだ。その後、5番ホール、上がりの2ホールも獲って、5バーディー。通算10アンダーパーへと躍進して2位タイなのだ。
「面白いゲームになる気配。あと2日間を頑張る!」と、強者の顔ぶれが揃った上位陣の中でも、自らの存在感を示そうとしていることがアリアリなのだった。
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