波乱の連続となった。酒井美紀は準々決勝、最終ホールまでもつれこむ激戦の末、昨年の世界アマ日本代表、森田理香子を1アップで破った。前日まで湿っていた260ヤードの飛距離を取り戻し、終始安定したプレーを見せ、粘る森田を退けた。昨年のベスト4を上回る成績を狙っていた森田は、18番でドライバーショットを右、セカンドを左林と曲げ自滅した。
つづく準決勝、宮里戦はパットの調子が冴えた。いきなり2ダウンと出遅れたが、10番で追いつき、エキストラホールへもつれこんだ。1ホール目、酒井は10メートルを手堅く2パットのパー。それに対して宮里は6メートルから気迫の「入れ!」と狙ったバーディーパットが1.5オー
バー。返しも入らず3パットで勝負が決した。
酒井は、優勝候補を相次いで打ち破った。「森田さんも宮里さんも有名人。私とはレベルも比べものにならない、全部上の人。勝ててビックリ。うれしい」自分のプレーにひたすら集中することを心がけたという。森田戦はスウィングのいい森田を間近で見て、良いイメージが出た。宮里戦では、これまで最低だったパットのイメージが蘇った。冷静に相手からエネルギーを吸い上げながらのプレー。したたかだった。
大きな身体で、ついたニックネームがミキティー。沖縄などに生息する大型魚、マナティーからついた。ナショナルチームとチーム・ジャパン・ジュニアの選考合宿にも呼ばれたホープだ。03年の福島県ジュニア優勝。以来、今年春の東日本パブリックまで11勝は勝負強さの証明だ。
福島県いわき市の東日本国際大付属昌平高1年。入学前の全国中学選手権春季大会では男子優勝の石川遼と表彰式で壇上に並んだ。「石川君より私の好みはジャニーズの相葉君。キャディーバックのシールをきれいにして、がんばります」とにっこり。
予選では通過ラインぎりぎりで14人中4人に絞るプレーオフに出場。ようやくの思いでマッチプレーに勝ち上がった。ストロークプレー終了後は、マッチプレー進出を諦めて、キャディーを務める父親の正孝さんと空港に向かい、その道中でプレーオフと知って駆け戻っての出場だった。「自分の力を出し切り1打1打を大切に」決勝戦は無欲の戦いとなる。
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