史上初のプレーオフ進出者同士による決勝戦。酒井の対戦相手は、大学生で唯一人ベスト8に進出していた綾田紘子。後輩の原江里菜、有村智恵、そして同年の上田桃子がプロ入りして、3人の活躍を見て、力をもらった。「自分も早くあの舞台に立ちたい。うらやましい」と励みにしたという。
準々決勝では、対戦相手の桒原えりかに前半で4ダウンを喫したが、インで追いつき、エキストラ20ホールで逆転勝ち。この勝利で勢いに乗った。
準決勝の森戦も出だしで2ダウンとまたも出遅れ。しかし、3番から4連続アップで逆転すると、8番から今度は3連続アップを奪い、5アップとリードを広げた。「私の調子が良いのではなく森さんの調子が
悪かった」と淡々。しかし、したたかなゴルファーだ。
「同世代が活躍して意識が高まった。自分もやらなきゃ」と決意して以来、日曜の練習はじっくりと1日かけて400球を打ち込むという。得意クラブはフェアウェーウッド、3、5、7、9番をキャディーバックに入れ、いま流行のユーティリティーには脇目もふれない。8月にタイで行われるユニバーシアード大会の日本代表でもある。
日本女子アマは2回目の出場。昨年は予選落ちに終わったが、今年はその雪辱を晴らし、栄光のファイナリスト。
「たまたま。今日は、負ける気で来たから、よかった」キャディーを務めた父親の裕次郎さんは、他人事のようだ。その父は連日の暑さで、ついにダウン。ハウスキャディーと変わった。
「色々と考えることはあるけれど、自分のゴルフの調子は悪くない。良い戦いにはなるかなと思っています」決勝戦に向け、綾田のトーンは上がりはじめた。
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