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競技報告
【タムラ・ワールド全開、悲願の決勝進出】
第4日 競技報告:西澤 忠 写真:Gary Kobayashi
小林伸太郎(左)  田村尚之(右)
43歳の“中年の星”田村尚之(賀茂CC)と対戦するプレーヤーが異口同音にいうことがある。「なぜかあの人のペースに嵌ったら、アリ地獄に落ちたように這い上がれなくなる。自分のゴルフを見失って、いつのまにか負けてしまう」と。
それを本人に確かめると、「それは自分でも分からないことで、私としては普段通りのゴルフを一生懸命にやり通そうとしているだけなのです。きっと、この試合でも大学生ゴルファーに勝って来られたのは、彼らは普段やっていることが試合で出来ないからだと思うしかありません」
この日の田村は、そんな“タムラ・ワールド”を全開させ、粘りに粘った末に、悲願の決勝進出を果たしたのだ。過去2年の大会で
、ベスト4までは行くのだが、韓国ナショナルチームの選手に道を閉ざされて来ただけに、初の決勝進出は「やっと夢のステージに立つことができました。感激しています!」と素直に気持ちを表現した。
その道程をここに記すことで、田村のプレー・スタイルがいかに自然で水の流れのようにスムースかが分かるはずである。
準々決勝で、前田男(早稲田大1年)を3and 1で退けると、準決勝の対戦相手は永野竜太郎(東北福祉大1年)だった。試合前から、“東北福祉大のエース”と評判の高い永野だけにゲームは白熱し、手に汗握る展開だった。1番ホールをバーディーとバーディーでハーフにすると、両者ともバーディーの応酬を繰り返し、3回目の“バーディーによる引き分け”を9番ホールで終えたときには永野の1アップだった。7番パー3のグリーンで、7メートルを捩じ込んだ結果だった。
しかし、インに入って、田村が10番を獲ってイーブン、11番ではセカンドを15センチにつけるショットで1アップとすると、次ホールでボギーによるイーブンと一進一退が続く。
しかし、若さを武器に長打力を誇る永野が14番を獲り、16番パー3ホールで、風の計算を間違えた田村がグリーンを大きくオーバー。深いラフからフロップ・ショットで寄せたが、この1㍍足らずのパットが入らずには初の“大量リード”2ダウンを田村が喫した。
しかし、ホンモノの“タムラ・ワールド”がここから始まった。17番、ドーミーホールを迎えた永野の心理が微妙に腕の動きを阻害するのか、寄せワンのパーを拾う田村に対し、永野が3パットを演じるのだ。そして、1ダウンでドーミーが続く、18番ホールでも5番アイアンのセカンドショット(ターフ跡の砂地ライだった)をグリーン奥のくぼ地へ。それも松の枝下を通さなければならない裸地。案の定、ボギーの永野に絶妙なピッチ&ランで寄せた田村がパーで、追いついたのだ。

延長1番ホールに入って、両者は疲れもあってか、ショットが曲がり出す。普段なら、圧倒的に飛距離の出る永野が50ヤードも先に行くが、曲がったショットをラフからリカバリーするゴルフなら経験豊富な田村の方が役者は上なのだろう。1ピン前後の距離のバーディーパットを外し続ける永野の顔が紅潮して来たのに対し、田村は「手に汗をかいてグリップがし難くなった」程度で、涼しい顔なのだ。
終幕は今大会最長の23ホール目、5番ホールに訪れる。田村が左ラフ、永野が右ラフと分かれたセカンドショットを田村が先に打って、3.5メートル。永野がその内側3メートルにつける。田村のショットは前下がりにラフという難関だったが、「残り171ヤード、普段なら7番アイアンですが、6番アイアンでカット気味に打つといういつも自分がやるラフからの打ち方を貫きました。自分でも最高のショットだと思います」と試合後に語る。
そして、「キャディさんのいう“曲がるとしたらスライスライン。カップの内側狙い”という言葉を信じて打ったパットが沈み、バーディー。田村が珍しく後方に走り出すようなボディ・アクションを見せた。
立場が逆転し、追い込まれた永野のプレッシャーはかなりの重圧だったに違いない。普段より時間をかけたパットがカップの縁をかすめて通り過ぎると、膝を折ってしゃがみ込んだ永野が両手で顔を覆って、しばらくの間立ち上がれない。
「パットの距離感が合わずに、苦労した今回の試合でしたが、なんとか耐えていたのです。でも大事な場面で打ち切れないパットをしてしまいました」と“勝てたゲームを逃がした”敗因を語った。
それとは対称的に田村は「リードされていても、“ヤバイかな”とか全然感じないので、感情がないのか?といわれますが、“普通にプレーして、後は結果待ち”の気持ちなのです。歳も歳ですから、週2回ほど筋トレしていますから、足の疲れもありませんでした」と試合後も涼しい顔のクールさだった。
しかし、1日36ホールの昼食インターバル30分間に、トレーナーとともにロッカー・ルームに姿を消した瞬間を見たので訊くと、「広島から来た友人トレーナーにマッサージをお願いしました」という。やはり年齢相応の準備万端を整えているのだと知れた。

第4日目の選手インタビュー(動画)は、<こちらから>
第4日目のフォトギャラリーは、<こちらから>


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