米ツアーに参戦して8年目の今シーズン、優勝こそないが、フランスで行われたエビアン・マスターズの2位を始め、ベスト10以内が7試合、賞金ランキング10位の実力を持つジャン ジョンのエンジンが、まだ本格的にはかかっていない。本大会の2週前に行われたメディアデーと前日の練習日に2回の練習ラウンドを重ねたが、本番がスタートした第1ラウンドが2オーバーパー74。第2ラウンドのこの日が、やっと1アンダーパーの71で、通算1オーバーパーは首位から7打差の9位タイなのだから。昨年の茨木CCで、69のスコアを3つも並べたショットの切れ味が見られないのだ。
朝早い7時9分にインコースからスタートしたこの日、11番でバーディーを獲るものの、15番でマージンを吐き出すボギー。アウトへターンしてからも5番の394ヤード・パー4でやっとバーディー、わずか1打を沈める結果だった。ティショットでフェアウェイを外しても、ショートウッドを駆使して低い球筋でコントロール、花道を使ってグリーンを捉えながらも、パットが思うように入ってくれないのだ。
しかし、彼女が心の中で己の不甲斐なさに憤慨していたのはパー5ホールの攻め方にあった。「昨日と今日のゴルフで、最も悔しいのはパー5ホールでのバーディーがなかったこと。100ヤード以内のショートゲームが私の得意ジャンルなのに、80ヤード足らずのウェッジショットがほとんどショート、距離感が狂っていた。これから練習場でウェッジショットの修正をします」という。プロにとって、パー5ホールはバーディーの収穫場なのに、2ラウンドして1オーバーパーなのだから、口惜しいはずだろう。
練習場へ行くと、ボールを山と積んだ彼女はウェッジをつかみ、80ヤードを20球、100ヤードをやはり20球、120ヤードも20球と、3本ウェッジのすべてを集中しながら打ち込んだ。傍目にはほとんど同じ地点に白球は落ちるように見えた。それでも「カットラインを気にしないですむ明日からは…」と闘志を秘める表情を見せた。3日目のペアリングはともに1オーバーパーで、第1ラウンドから同組の大山志保とのラウンド。昨年の賞金女王との競り合いで、ジャンのエンジンが本格的にかかり出すかもしれない。
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