「良かった、めちゃくちゃ緊張した。12番からは、もういやだって感じでした」「2㍍のパーパットをいっぱい入れた。こんなに1打、1打集中して疲れた」喜びとともにあふれ出る歓喜の言葉が、周囲を笑顔に包んだ。
諸見里が長いトンネルを抜け出した。
不動との同組対戦はまるでマッチプレーの争い。3打差をつけ有利に見えたが、7番でラフを渡り歩きボギーにすると2打差に詰まった。11番では、不動がバーディーとするとついに1打差。完全に追いつめられた。さらにキャンベル、ジャン、古閑もスコアを伸ばした。逃げる諸見里、周囲の追い上げ、いつスコアを崩してもおかしくない展開だった。
だが、今大会の諸見里に”もろさ”は
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ついにでなかった。13番、アプローチを失敗4メートルも残したパーパットをど真ん中から入れると、15番では、フェアウェイから残り125ヤードの2打目を9番アイアンを手にし、ピン右2.5メートルにつける。諸見里はこの日、2個目のバーディーパットを決めた。17番グリーンで半円を描く下り14メートルのフックラインを完全に読み切り、見事なタッチで寄せた。2打差で迎えた最終ホールのパー5。ラフを渡り歩き、4オン2パットのボギーとしながらの逃げ切り勝ち。嬉し涙がさわやかだった。
最終組の二人は04年チャンピオンの不動と、その年アマチュアながら5位に入り、ローアマチュアを獲得した諸見里。4年ぶりの舞台はともに今回、復活をかけて一歩も引けない対決だった。昨年からスランプに落ち込んだ不動と期待されながら伸び悩む諸見里。最終組の戦いに迫力があったわけだ。
「パットが下手といわれたが、クロスハンドに切り替えて2ヶ月。今回は良く打てている、グリーン上、堂々としているとほめられた」諸見里は自分を変えようと必死だった。「体調不良や事務所の移籍と悩みもあった。でも桃子(上田)が刺激になったり、経験が活きた。悪いゴルフの言い訳ばかり探している自分も発見できたし、この優勝で私は変わりますよ」一番不足していた自信が全身から溢れでた。
「立派だった。自分でクラブも選び、攻め方にも我を出した。これを待っていた。課題は、まだまだある。不動さんのような重さで打つショット。強い球、プレッシャーに壊れないスイングを目指したい。疑問をたくさんもって、どんどん挑戦してほしい」いつも厳しい”鬼コーチ”の江連忠コーチだ。39歳の誕生日に愛弟子の優勝、万感の思いがある。「俺は優勝がほしい」と諸見里にいい続けた今大会だったという。現役時代、2回ツアー最終ラウンド最終組をまわりながら、ついに優勝できなかった自分の夢を今回キャディーとして果たしたかったのだろう。弟子は良い贈り物を最高の舞台で贈った。
「次週は、去年ばたばたになって優勝したSANKYOレディース。2連覇を目指し、胸を張って戦いたいと思います」21歳にして一人立ちしたホープのこれからが楽しみだ。
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諸見里選手・不動選手・森田選手のインタビューをご覧いただけます
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