初出場の扇徳男と片山勝正の2人が、ともに1アンダーパー・71と好スコアをマークして、2位タイで第1ラウンドを終えた。扇は14番でボギーが先行すると、16番では8メートルから3パットでボギー。「スタートからバーディーチャンスはあったが、パットが決まらない」我慢のゴルフを強いられる。しかし、それも17番で2メートルのバーディーを決め、「このバーディーで気分が乗った」と笑顔を見せる。その言葉通り、後半は4番で5メートルの下り傾斜のフックラインを見事に決めてイーブンパーにスコアを戻すと、6番ボギーの後の8番でスーパーショットを見せた。131ヤードのパー3。「完璧な手応え。球もピンに真っ直ぐ飛んでいった
」と自画自賛した9番アイアンのティショットは、あわやホールインワンの20センチについた。これを難なく沈めて波に乗った扇は、8番も左ラフから120ヤードの2打目を2メートルにつけて、1アンダーパーまでスコアを伸ばした。「小金井CCは、20年ぶりにプレーする。当時も思ったことだが、このコースはグリーンが本当に難しい。それでも、このスコアは上出来。100点満点」。優勝のチャンスも充分に残されている明日のラウンドは、「それを意識しないで、楽しくプレーしたい」と自然体を強調する。
もう1人、2位タイにつけた片山も前半は、グリーンのタッチを掴むのに時間がかかり、バーディーチャンスをものに出来ない苦しい展開だった。もどかしさが募ったのか、16番ではティショットを左にミスして、アプローチも寄せきれずダブルボギー。続く17番もボギーとし、39でハーフターン。片山は、「前半は、正直いってイライラしたけど…でも、それもゴルフ」と気持ちを切り替えて臨んだ後半で、一気に挽回を見せた。2番で8メートルの下りのスライスラインを沈めると、続く3番では、7番アイアンのティショットを1.5メートルにつけて連続バーディー。パーを積み重ねて迎えた終盤。8番で80ヤードの2打目を1メートル、9番では3メートルを決めて、この日2度目の連続バーディーでフィニッシュ。しかし、片山の表情は厳しかった。「最後になってようやく、グリーンのタッチも合ってきたけれど、スタートから早いうちに攻略できていれば。内容に不満はないけれど、もっとスコアを伸ばせたと思う」と唇を噛んだ。片山にとって計算違いだったのは、パー5でひとつもスコアを伸ばせなかったこと。それが、自己採点で「90点」という結果になったのかもしれない。
片山は、中国ミッドシニアで青木和彦にプレーオフに惜敗しながら、本選手権の出場資格を得た。その青木と練習ラウンドなどで行動を共にした藤原忠朝に2打差をつけて、2位タイに。「青木選手は、ライバルというより、ゴルフの師匠。藤原選手は練習の時から一緒に頑張ろうと励まし合っていた」と同郷の2人の話題が出たときに、やっと表情が緩んだ。
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