第1ラウンドを終えて首位と5打差の6位タイにつけていた中野弘治。優勝争いのプレッシャーからか最終組がスコアを伸ばしきれない間隙を縫って、中野は3バーディー・1ボギーの70でホールアウト。終わってみれば、逆転で本選手権初優勝を手中に収めた。
「ショットが好調だった」という中野は、2番で2メートルのバーディーパットを決めて波に乗ると、4番では110ヤードの2打目を9番アイアンで70センチにつけて、スコアを伸ばす。圧巻は7番ホールだった。9番アイアンで打ったティショットは、見事な放物線を描いて、ホールの横に落ち、50センチにつく。あわやホールインワンという見事なショットで前半を33でホールアウト。「今日はトップグループが通算2アンダーパーか3アンダーパーでプレーすると思っていた。自分もそれぐらいは伸ばさないと」という思惑通り、前半で一気に首位グループに追いつく。後半は、14番でボギーを叩いたものの、8ホールでパーを積み重ね、37。まるで絵に描いたような逆転劇だった。「今日のプレーは大満足。でも、ここ数年はゴルフ漬けの生活を送ることも出来ずにいたので、優勝できたことは、正直言って驚いている」と、優勝の喜びよりも戸惑いの表情を見せていた中野。過去2004年大会で2位に入るなど、常時上位に名を連ねてきたが、なかなか優勝杯を手にすることが出来なかったことも、その表情の理由かも知れない。「地元開催で全国大会初優勝。これで少しは溜飲を下げられたかな」最後になって、ようやく満面の笑みが見せてくれた。
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