首位の増田との差は3ストローク。最終組の二人は、太陽と月のように正反対のプレーだった。投擲競技の選手として有名だった三木は、ドライバーショットで他の選手に対してアドバンテージを取り、パー5は積極果敢に2オンを狙うダイナミックなゴルフ。一方の増田は、アプローチとパッティングで愚直にパーを積み重ねるゴルフ。対照的な2人の争いは、前半から1ストロークを争う白熱した展開だった。
スタートの1番。三木が2打目をピンに絡ませてバーディーチャンスにつけると、増田はグリーン中央に乗せ15メートルほどのバーディーパットを80センチにつけるパー。1.5メートルのバーディーパットに臨んだ三木は、これを外してし
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まい、パー。まったく対照的なパーセーブだった。先にスコアが動いたのは、追いかける三木。左ドッグレッグの2番ホールで三木のティーショットは、フェアウェイを飛び越え、右の斜面。3打目のアプローチを寄せ切れず、ボギーを叩いてしまう。4番パー3では、188ヤードのティーショットを4番アイアンで1.5メートルにつけてバーディー。続く5番は、三木にとってチャンスのパー5。ここで三木は残り210ヤードを5番ウッドで2オンをすると、連続バーディーを奪い、増田にプレッシャーをかける。一方の増田は5番でボギーを叩き2人の差は1打に。一気に逆転を狙った三木だったが、6、7番の連続ボギーでなかなか差を縮められない。増田も7番から3連続ボギーを叩き、再び逆転のチャンスを迎えた三木だったが、2ホールでボギーを叩き、前半は1打差のままホールアウトした。
勝負が動いたのは、後半。優勝争いの疲れが出たのか増田が10番でダブルボギー、11番でボギーを叩くと、体力に勝る三木は、ショットを乱しながら10、11番でボギーとしながらも同スコアで並ぶ。2人が通算8オーバーパーで首位タイになった直後の12番。三木が2メートルのパーパットを沈めたのに対して、増田がよもやのボギーを叩いて、ついに三木が逆転。この時、優勝争いの相手は前の組でプレーする阪本知子に変わった。三木と阪本は中学時代に陸上競技のライバルとして争った仲。女子シニアでは、無類の飛距離を誇る2人は、ゴルフ競技で再び雌雄を決することとなった。そして、三木が1打リードで迎えた14番。勝利の女神は、三木に微笑んだ。このホールのティーショットを打った瞬間、三木はOBを覚悟するミスショット。しかし、この球が左斜面に止まり、OBを免れると、花道からのアプローチを10センチにつけて、パーセーブ。これで勝負の流れを掴んだ三木は、15、16番で連続バーディーを奪い、阪本を突き放した。
「初出場の昨年は、7位タイと悔しい結果に終わって、今年は優勝だけを目標にしていた。それを達成できたことが嬉しいし、中学時代からお互いを知っている阪本選手と、この年代になって当時とは違う競技で優勝争いを出来たことが、信じられない」と三木は笑顔をこぼす。三木は、2001年、2005年の日本女子ミッドに続いて、3度目の日本タイトルを手中にした。本選手権と女子ミッドの2冠を果たしたのは、渡辺恵子以来2人目。大先輩の渡辺は日本女子アマも制している。三木に残されたアマチュアタイトルは、日本女子アマだけ。偉大な先達に肩を並べる資格は、この優勝で手にした。今年50回大会を迎える女子アマにもうひとつ話題が増えた1日だった。
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