負けられない戦いだった。2回戦に駒を進めた藤本にとっては、喉から手が出るほど欲した日本オープンの出場資格を得るために、どうしてもあと1勝が必要だった。藤本の対戦相手は、1回戦で強豪の薗田峻輔を4and3で破った日本アマ初出場の松山英樹。この対戦は、スタートから思わぬ展開を見せた。1番のティショット。「ドライバーショットがえげつないほど曲がる」と顔をしかめる藤本の言葉通り、球は左のラフへ。一方の松山は、1回戦の勢いのまま、絶好のポジションにティショットを運ぶ。
松山はこのホールでイーグルを奪ってリードを取ると、5番を終わって4upにまでリードを広げ、スタートダッシュに成功する。「3ホール連続で取られたときには、正直焦りました。でも、5番を終わって4downになって逆に開き直れました」という藤本の言葉通り、6番から藤本の逆襲が始まった。6、7番を連続で取った藤本は、8番で5メートルのバーディーチャンスを迎える。ホールから右60センチに打ち出された球がカップに沈んだとき、試合の流れは完全に藤本に傾いた。10番で松山に追いつくと、「1ホールを争う戦い。エキストラホールも覚悟してプレーしていた」藤本が、16番でバーディーを奪い、このマッチ初めてのリードを奪う。その後は慎重にパーをセーブし、粘る松山を1upで破り、ベスト8入りを果たし、念願の日本オープン出場資格を手に入れた。
「日本オープンは、どうしても出場したかった。初めての日本オープンでは、まったく通用しなかった。それから2年経った現在、自分の力がどれだけ通用するのか。将来の目標のためにも今年、挑戦したかった」と目を輝かせる。日本アマでひとつの目標を達成した藤本。次は、日本アマ制覇を目指す。
|